2021/06/29
わが国でモダン・ギャッベを取扱う絨毯専門店や家具店が多い理由についてお尋ねいただくことがよくあります。
最近の(モダン)ギャッベ・ブームの背景には、販売店の増加により人目に触れる機会が増えたことがあるのは間違いないでしょう。
モダン・ギャッベの製作風景(製作しているのは遊牧民ではなく定住民です)
さて、それではなぜギャッベを取扱う店が多いのか?
その理由の第一は、正統なペルシャ絨毯に比べると仕入価格が圧倒的に安いから。
つまり、小資本でも始めることができるからです。
一般にペルシャ絨毯の仕入には膨大な資金が必要となりますが、ギャッベならその何分の一かの資金で済ませることができるのです。
理由の第二は、ペルシャ絨毯についての難解な専門知識が必要ないから。
「遊牧民」「草木染」「一点物」……この三つの魔法の言葉さえ口にすれば、モダン・ギャッベはアルバイトの女の子にでも販売できると言われます。
長い年月をかけて専門知識を身につけたり鑑識眼を養ったりする必要がない訳ですから、気楽に取扱うことができます。
プロの販売員を雇う必要もなく、アルバイトを使えばよいのですから人件費も削減できるのです。
モダン・ギャッベの意匠図(モダン・ギャッベはデザイナーが作成したた意匠図をもとに製織されます)
ついでですが、ウィキペディアの【ギャッベ】についての記事がなかなか良く書けています。
全体を読むと間違いや説明の足りない箇所がいくつかありますが、「市場性」の中の【ブランド】の項は事実を言い得ていて素晴らしいですね。
ここに書かれていることはギャッベだけでなく、日本でだけ有名なクムのいくつかの工房についても同じ。
相場の何倍もの金額を支払っている人が日本にはいかに多いかということです。
ぜひご一読を。
※https://ja.wikipedia.org/wiki/ギャッベ
モダン・ギャッベの仕上げ風景(すべての工程は分業制により行われています)