宮廷工房3

サファヴィー朝期に製作されたペルシャ絨毯のうち、現存しているものは1,500枚前後といわれます。

その中の幾枚かはサザビーズ、クリスティーズに代表される名門オークション・ハウス主催のオークションに登場。

驚愕の値段で落札され世界の話題をさらいました。

サザビーズのオークション会場(2013年、ワシントンDC)

1991年にロンドンで開催されたクリスティーズのオークションに出品されたメダリオン文様絨毯が、240万ドル(約3億2,000万円)で落札されます。

16世紀にタブリーズで製作されたとされる絨毯で、縦6.60メートル、横3.58メートル。

英国のナサニエル・ロスチャイルド男爵からオーストリアのアルベルト・ザロモン・アンゼルム・フォン・ロートシルト(英語読み:ロスチャイルド)男爵が継承し、第二次世界大戦中ナチスによって略奪されたものと伝えられます。

落札したのはカタール首長であったハマド・ビン・ハリーファ・アッサーニーで、この絨毯は2008年カタールの首都ドーハに開館したイスラム・アート美術館(MIA)に収蔵されました。

240万ドルで落札されたメダリオン文様絨毯

2008年にはクリスティーズのオークションに出品されたペルシャ絨毯が、445万ドル(約47,000万円)で落札されます。

この絨毯は縦2.31メートル、横1.70メートル。

17世紀初頭、アッバス1世の時代にイスファハかカシャーンで製作されたと考えられる総シルクの絨毯です。

米国の資産家で、園芸家、美術収集家、慈善活動家としても知られたドリス・デュークの旧蔵品で、1990年に彼女がイスラム美術収集家のグレイス・レイニー・ロジャーから譲り受けたものでした。

445万ドルで落札されたシルク絨毯

続いて2010年、クリスティーズ・ロンドンのオークションで、17世紀中頃にケルマンで製作されたと言われる花瓶文様絨毯が720万ユーロ(約72,000万円)で落札されます。

この絨毯は、もとは1939年に亡したフランスの資産家の旧蔵品で、1987年にモナコで開催されたオークションにも出品されたもの。

このときはドイツのディーラーが落札するものの、彼は落札した絨毯を家政婦への贈物とし、家政婦もまたバイエルンに住む友人女性へ進呈します。

常々「わが家には大きすぎる」と考えていたこの女性は、亭主の没後この絨毯をアウグスブルグのオークション・ハウスに委託し、2万ユーロ(約210万円)でハンブルグのディーラーに譲ったのでした。

720万ユーロで落札された花瓶文様絨毯

そして、2013年にはワシントンDCのコーコラン美術館で開催されたサザビーズ・ニューヨークのオークションに、17世紀中頃のケルマンで製作されたと言われるペルシャ絨毯が登場。

絨毯としては史上最高額の3,370万ドル(約32億円)で落札されています。

この絨毯はモンタナ州選出の上院議員で鉱業家、銀行家であったウィリアム・A・クラークの旧蔵品で、彼の名を冠して「クラーク・サイクル・リーフ・カーペット」と名付けられました。

サイクル・リーフは鎌状の葉のことです。

2.67メートル、横1.96メートルのこの絨毯の落札価格はサザビーズの予想価格の約6倍でした。

クラーク・サイクル・リーフ・カーペット

落札者の名は非公開であることから、これらのうちイスラーム・アート美術館にある一枚以外は、どの国に行ったのかさえわかっていません。

なお、過去に1億円以上の価格で取引されたペルシャ絨毯は、イラン絨毯公社が製作した巨大な絨毯(コラムを参照)等の特殊な例を除けば、すべてサファヴィー朝期に製作されたものです。

19世紀以降に製作された作品で、そのような価値を有する者はまず存在しないと考えてよいでしょう。

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