ペルシャ絨毯の【偽物の見分け方】

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ペルシャ絨毯の偽物について

ペルシャ絨毯を模した絨毯には一部のトルコ絨毯(ヘレケ産、カイセリ産、シヴァス産等)や
パキスタン絨毯、インド絨毯、エジプト絨毯、ルーマニア絨毯、中国絨毯などの手織絨毯のほか、
欧米や中東諸国(イランも含む)で製作された機械織絨毯等、実に様々なものがあります。

これらは本来、消費者を欺く目的で製作されたものではありませんが、
一部の心ない商人たちにより「ペルシャ絨毯」として販売され、挙句、裁判にまで至った事例もあります。
ネットオークション等にはこうした品々が多数出品されているので注意した方がよいかもしれません。
ここではわが国でよく見かける機械織絨毯と中国絨毯を例にとりあげ、その見分け方について解説することにします。

また、有名産地のペルシャ絨毯に似せてイラン国内で製作された質の劣る手織絨毯に、
人気工房のサインを流通の過程で付け加えた正真正銘の「偽物」についても、
偽サインの見分け方を合わせて解説します。

機械織絨毯との見分け方

機械織絨毯は産業革命以降、
英国のウィルトンやウェストミンスターをはじめとする町々で製作されるようになりました。
機械織にはウィルトン織やジャガード織、タフテッド織等いくつかの種類がありますが、
現在はウィルトン織を対面式に2枚同時に製作する「ダブル・フェイス」と呼ばれる製品も出てきています。

近年、イランでもヨーロッパから輸入した機械を用いた機械織絨毯が製作されるようになりました。
流石にペルシャ絨毯の原産国だけあり、イラン製の機械織絨毯はとてもよく出来ています。
最近「ペルシャ・カーペット」「ペルシャ柄絨毯」「イラン製絨毯」「イラン・カーペット」などの名で
販売されているのをよく見かけるようになりました。

フリンジは手縫いで取り付けられているものがあるほか、
絨毯の左右端が丸まるのを防ぐため取り付けられる矯正ベルトを縫い付けてあるものさえあり、
それらをして「半手織」などと説明している業者もいます。
イラン国内で製作されたものであっても機械織絨毯はペルシャ絨毯ではありませんのでご注意ください。

機械織絨毯は形にまったく歪みがなく、線は定規で引いたようにまっすぐになっています。
それに対し手織は手作業で製織するため、程度の差こそあれ必ず歪みが生じます。
加えて、フリンジとエッジとを見れば容易に見分けることができます。

フリンジの比較。
ペルシャ絨毯は本体の縦糸がそのままフリンジになっていますが、
機械織絨毯はフリンジを縫い付けてあります。

いずれも機械織絨毯。
フリンジの縫い付け方にはいくつかの種類があります。
また、フリンジを縫い付けず、オーバーロックが施されているものもあります。

エッジの比較。
ペルシャ絨毯はエッジを手縫いでかがってありますが、機械織絨毯はミシンで縫い付けてあります。

中国絨毯との見分け方

中国絨毯の種類は様々ですが、「ペルシャ絨毯」として販売されることが多いのが高段数とよばれるシルク絨毯。
1980年代に主に日本の市場をターゲットに製作されるようになったもので、
当時はまだきわめて高価であったペルシャ絨毯の代用品として大量に輸入されました。

クム産ペルシャ絨毯のデザインをコピーしたものが多く、イラン製に勝るとも劣らない品もたくさんあります。
「イースト・ペルシャ」の商品名で販売されることもありますが、ペルシャ絨毯ではありませんのでご注意ください。

人件費の高騰により、いまやトルコで販売されるシルク絨毯の多くが中国製になったと言われます。
最近ではイラン人絨毯商がプロデュースした精巧なものも製作されるようになりました。

クム絨毯のエッジ。
左右端の縦糸複数本を束ねて、本体と同じ色の絹糸でかがる「ダブル・エッジ」になっています。

中国絨毯のエッジ。
金色の既成の「シングル・エッジ」を縫い付けてあります。

偽の工房サインの見分け方

偽の工房サインを入れるには既存のパイルを抜き取った後、新たにパイルを結びます。
そのため、既存のパイルと新たに結び替えたパイルは同じ色にはなりません。

上の画像はハビビアンの偽サインが後付けされたナイン絨毯。
サインの部分だけ他の場所と色が違っているのがわかるでしょう。

その他いくつかのポイントに着目すれば、プロでなくともある程度は見分けられるようになるはずです。

本物と偽物との比較例1

本物のハビビアンのサイン偽のハビビアンのサイン

本物のハビビアンのサインと、無銘のナイン産に後付けされた偽のハビビアンのサインの比較。
表から見たところです。

偽のサインが後付けされたナイン絨毯偽のサインが後付けされたナイン絨毯

偽のサインが後付けされたナイン絨毯を裏から見たところ。
他の場所に比べると、サインの部分だけ焦げ茶はやや薄く、ベージュはやや濃く、水色は灰色がかっています。
初めから織込まれたサインであれば、色はまったく同じになります。

偽のハビビアンのサイン偽のハビビアンのサイン

偽のハビビアンのサイン。
不自然に文様が途切れており、新たにパイルを結んだ箇所だけノットが乱れています。

本物のハビビアンのサイン本物のハビビアンのサイン

本物のハビビアンのサイン。
サインに使用されている色は他の場所と変わらず、ノットも乱れていません。
サインの背にある蔓草の先端は花葉で終わり、一つの文様として完結しています。

本物と偽物との比較例2

本物のハビビアンのサイン偽のハビビアンのサイン

本物のハビビアンのサインと、無銘のナイン産に後付けされた偽のハビビアンのサイン。
本物はサインを入れることを前提にガード内がデザインされており、文様は不自然に途切れていません。
また、サインのある箇所の色は他の場所と同じです。
一方、偽物は文様が不自然に途切れている上、サインのある箇所の色が他の場所と異なっています。

本物と偽物との比較例3

本物のセーラフィアンのサインと、無銘のイスファハン絨毯に後付けされた偽のセーラフィアンのサイン。
形状がまったく異なることに加え、キリム上ではなく外ガード内にサインがあります。
また、サインの赤や緑が他の場所と違っています。
絨毯最下端のセーラフィアンのファミリーネームがキリム上ではなく、ガード内に入っているものはすべて偽物です。

本物と偽物との比較例4

本物のセーラフィアンのサインと、無銘のイスファハン絨毯に後付けされた偽のセーラフィアンのサイン。
偽物はサインがキリム上ではなく、外ガードに接して入れられています。
サインの形状はよく似ていますが、偽物はよく見るとカルトゥーシュ内のイスリム文様が簡略化されており、
サインに使用されている赤や緑も絨毯本体と異なっています。

本物と偽物との比較例5

本物の(メヒディ)セーラフィアンのサインと、
無銘のイスファハン絨毯に後付けされた偽のセーラフィアンのサイン。
こちらはセーラフィアン工房の公式ブログ(http://seirafian.blogspot.com/)に紹介されている偽物で、
サインが絨毯の下端ではなく上端に入れられています。
サイン自体はよくできていますが、
セーラフィアンのファミリーネームが上端に入っているものはすべて偽物。
モハンマドとその息子たち並びにアフマドの作品には上端にフルネームが織り込まれているものの、
下端には別にセーラフィアンのファミリーネームがあります。

本物と偽物との比較例6

本物のモハンマディのサインとマラゲ産に後付けされた偽のモハンマディのサイン。
本物はカルトゥーシュに接するの左右の文様が揃っていますが、偽物は揃っていません。

本物と偽物との比較例7

本物のムサヴィのサインと、マラゲ産に後付けされた偽のムサヴィのサイン。
偽物はカルトゥーシュ内の緑が他とまったく異なる上、サインの位置が中心から左へとずれています。

本物と偽物との比較例8

本物のモハンマド・ジャムシディのサインと、マラゲ産に後付けされた偽のジャムシディのサイン。
サインの形状が全く異なる上、マラゲ産の方はサインが外ガードにまではみ出しています。

同様にカシャーンとクムの偽サインが後付けされたマラゲ産です。
無理にサインを入れているので窮屈であったり、外ガードにまではみ出したりしています。

こちらは本物のモハンマディとミールメヒディのサイン。
製織の過程でサインが入れられているので、窮屈な感じはありません。

本物と偽物との比較例9

本物のアボロファズル・ラジャビアンのサインと、マラゲ産に後付けされた偽のラジャビアンのサイン。
形状がまったく異なることに加え、マラゲ産の方は窮屈にサインが入っています。

お願い

弊社では他店で購入されたペルシャ絨毯の【鑑定】は行いません。
本ページ掲載の記事をもとに、ご自身で判断いただけますようお願いいたします。

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