ペルシャ絨毯の値段について

「ペルシャ絨毯の値段のつけ方はどうなっているのかわからない」という声をよく聞きます。

「店によって値段がまったく違う。ひと桁違うなんてこともある」「いきなり半額になったりする。いったい、いくらで仕入れているのか?」……こうした内容なのですが、消費者が抱くペルシャ絨毯の値段についての疑問は、まさに日本の絨毯業界の問題点を指摘したものといえるでしょう。

 

ペルシャ絨毯の販売サイトを見るとやたらと値引を売りにした店ばかりが目につきます。

中には70%OFFとか80%OFFとかいったところまであります。

こうした業者に限って「ペルシャ絨毯は一生もの」であるとか「古くなればなるほど価値が出る」などと美辞麗句を並べ立てているようですが、一生ものになり得る品や古くなればなるほど価値が出る品を、なぜ法外な値引きをして叩き売らなければならないのでしょうか?

言っていることとやっていることが矛盾しているように思います。

 

そもそも値引しなければ売れないというのは「商品が悪いか、値段が高すぎるか、販売員に能力がないか」のいずれかです

値引をウリにしているのは、それしか取柄がないということ。

つまり、商品や値段、知識に自信がないから値引をアピールしているとしか考えられません。

これは「うちは三流店です」と宣伝しているようなものでしょう。

本当に価値ある品を自信をもってプライシングしているならば、極端な値引など必要ないはず。

どうすれば70%や80%も値引できるのか理解に苦しみます。

 

わが国でペルシャ絨毯が普及しはじめたのは1970年代の末。

日本橋三越本店が本格的に販売を開始してからです。

たかだか40年ほどしか経っていないのですから、日本人はペルシャ絨毯に慣れ親しんできた欧米人並みの知識など持ち合わせていません。

ペルシャ絨毯は難解な商品であるがゆえ「高額=高級」と思い込んでしまうのは仕方ないでしょう。

当然、優位性を悪用し情報弱者である一般消費者を手玉にとることなど容易な訳です

イラン人が経営するペルシャ絨毯専門店の中には、20世紀初頭に製作されたカシャン・シルクのドザール・サイズに1億円という馬鹿げた値段をつけているところまであります。

16~17世紀のサファヴィー朝期に製作された大きなサイズの完全品でもなければ、1億円もの値段がつくことなどあり得ません。

 

人種差別をするつもりは毛頭ないので誤解しないでほしいのですが、もともと「定価」というものが存在しないイランでは交渉によって値段が決まります

その商習慣は現在も残っていて、一部の商品やサービスを除くと値段交渉が必要になるのが一般的。

高い値段で売ることは販売する者の「交渉力の高さ」を証明することに他ならず、むしろ誇るべき行為である訳です。

彼らにとっては当然のことかもしれませんが「郷に入れば郷に従え」といいます。

そうした商習慣のない日本で自国流のやり方を押し通すことは、やはり問題でしょう。

 

しかし、彼ら以上に問題なのが日本人業者たち。

本来、そうした場違い的なやり方に注意を促すべき日本人業者たちが一緒になって同じことをやっています

結果、信用が第一の百貨店においても「絨毯だけは大幅値引も可」などというダブル・スタンダードを生んでしまいました。

画像の絨毯は東京都内の某百貨店の絨毯セールで実際に売られていたものをお客様が撮影したもの。

1畳ほどの大きさの現代物のバルーチ産の値段が、なんと480万円です。

これは相場の十数倍の値段。

セール会場でプロパー価格の値札をつけたままにしていることからも、大幅値引を考えているのは明らかです。

 

多くのペルシャ絨毯専門店が金科玉条のごとくに掲げる「直輸入だから安い」のフレーズにしても同じこと。

たとえ安く仕入たとしても利益を大幅に上乗せすれば売価は高くなって当然です。

つまり、直輸入だから安いとは限りません

良識ある大人であればこうした子供騙しに引っかかることはないはず。

そもそも直輸入かどうかなど入荷作業を見なければわからない訳ですから、冷静に思慮していただければと思います。

 

消費者の無知につけ込み、法外に設定した定価から大幅値引きをして購買意欲を煽る……このような商売を続けていれば絨毯業界の信用はなくなってしまって当たり前です

ペルシャ絨毯に対して多くの日本人が持つ認識は「値段があってないようなもの」。

そして、絨毯商に対して抱くイメージは「騙される」「胡散臭い」です。

こうした現実を真剣に受け止めている絨毯商が、いったいどれほどいるでしょうか。

その場限りの商売は、自ら自分の首を絞める行為に他なりません。

高級外車を買っただの愛人を囲っているだの自慢する前に、深く考えてほしいと思います。

 

企業の存在意義は「社会貢献」にこそあります。

商品なりサービスなりを提供することにより、消費者が豊かで幸福な生活を送るために役に立つことです。

絨毯商にできる社会貢献とは、価値ある品をお求めやすく提供することによってお客様に喜んでいただくこと。

そして、ペルシャ絨毯を通じてイランという国への理解を深めていただき、やがては国際親善に寄与することであると信じて疑いません。

「素人相手にバレる心配はないのだから何をやっても構わない」「自分さえ儲かれば客のことなどどうでもよい」……こんな考えは絶対に間違っています

 

ビジネスとは等価交換の原則に則ったものであるはず。

私たち絨毯商には、お客様からいただく利益に見合った対価を支払う責任があります。

「お客様に変わって価値ある絨毯を選び、ベストな一枚をご提供すること」……これが絨毯商が果たすべき義務なのです

利益とは大幅値引や二重価格、産地偽装や銘の後付等により、質の劣る品をあたかも価値があるように見せかける「誤魔化しの技術料」などではないことを心すべきです!

 

 

※関連記事は【よくある質問・入門編】をご覧ください。

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