取扱商品について

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仕様

寸法

ポシュティ:約90cm×約60cm
ザロチャラケ:約120cm×約80cm
ザロニム:約150cm×約100cm
ドザール:約210cm×約140cm

パルデ:約260cm×約160cm
キャレギ:約300cm×約200cm
ガリ:キャレギより大きなもの

※産地により多少の差異があります。
※1ザール=106.4cmで、ザロチャラケは1ザール+1/4ザール、ザロニムは1ザール+1/2ザール、ドザールは2ザール。

構成

メダリオン・タイプ

➀(外)ガード:ハーシエ・クーチェク
➁ボーダー:ハーシエ・ボゾルグ
➂(内)ガード:ハーシエ・クーチェク
➃フィールド:ザミネ
➄メダリオン:トランジ
➅ペンダント:サル・トランジ
➆コーナー:ラチャク

ミフラブ・タイプ

➀クロスパネル
➁スパンドレル:ラチャク
➂吊ランプ:ガンディール
➃柱:ストゥーン
➄フィールド:ザミネ
➅(外)ガード:ハーシエ・クーチェク
➆ボーダー:ハーシエ・ボゾルグ
➇(内)ガード:ハーシエ・クーチェク

素材

毛(ウール)

羊の家畜化は古代メソポタミアにおいて始まったものとされ、紀元前20世紀頃に栄えたバビロニアでは食用の羊とは別にウール用の羊が飼育されていたとも言われます。
その後、染色法が発明により、染色されたウールを用いて織られた絨毯は貴重な交易品として中東各地に広がってゆきました。
1949年から50年に掛けて、ソ連のセルゲイ・ルデンコ博士を主幹とする調査隊が南シベリアのアルタイ山中にあるパジリク古墳とバシャダル古墳で発掘した2枚の絨毯(バシャダルの方は断片)は、放射性炭素年代測定の結果、ともに紀元前3世紀頃に製作されたものであることがわかり、ウール絨毯の悠久の歴史を物語る証拠となっています。
現在でも手織で製作される絨毯の大半がウール絨毯です。

※ウールの特性については「よくある質問」をご覧ください。

絹:シルク

絹は5000年以上前の中国で、すでに生産が始まっていたと言われます。
漢の時代になると西域との交易が始まり、そのルートがのちに「シルクロード」とよばれようになりました。
同じ重さの金と同じ価値があると言われた絹の製法は門外不出とされてきましたが、西域の王に嫁ぐ中国の王女が蚕種(蚕の卵)を冠に隠して持ち出し、西域からやがてヨーロッパへもたらされたと伝えられています。
絹パイルの絨毯はサファヴィー朝のシャー・タハマスプ(在位1524年-1576年)の治世下で製作されたはじめたようで、その歴史は500年に足りません。
イランではカスピ海沿岸のラシュト、トルコではマルマラ海沿岸のブルサが絹の名産地として知られています。

※シルクの特性については「よくある質問」をご覧ください。

木絹:コットン

インドでは古くから綿栽培が行われており、有名なモヘンジョ・ダロの遺跡からは4000年ほど前に織られた綿布が見つかっています。
イランではアケメネス朝の時代にインドから伝わり、以後盛んになりました。
木綿は毛や絹に比べると強度は劣るものの、繊維の構造が密で温度や湿度の変化による伸縮が少ないため、絨毯の縦糸・横糸として適しています。
かつてヨーロッパで絨毯産業が育たなかったのは、木綿が手に入りにくかったためと言われているほど。
オリエンタルラグのパイルに木綿が使われることはインド絨毯の一部を除くとほとんどありませんが、日本の鍋島緞通や赤穂緞通、堺緞通のパイルには木綿が使用されています。

紡績具

すき機

刈り取られたばかりの汚れたウールは洗浄された後、天日干しにされます。
その後、金属製の櫛が付いたすき機にかけ、細かい汚れを取り除きます。

紡錘(羽根車型)

心棒に十字に交差した羽根車を取り付けたもので、これをクルクルと回転させながら解したウールを少しずつ指先で撚って巻き付けてゆきます。出来あがった撚りの粗い毛糸は更に糸車にかけられ、用途に応じた毛糸となります。

紡錘(弾み車型)

心棒の先に小さな弾み車が付いたタイプ。
使い方は羽根式と同じです。

糸車

紡錘によって紡がれた撚りの粗い毛糸は糸車にかけられ、用途に応じた固さに再び紡がれます。
二つの糸束からそれぞれ毛糸を繰り出し、1本の撚糸にします。
縦糸用の糸は固く丈夫に、横糸用はは縦糸よりもやや柔らかく、パイル糸は横糸用よりも更に柔らかく撚ってゆきます。

紡績機

とても手間のかかる手紡ぎは、いまではほとんど行われていません。
工場で紡績機によって紡がれた毛糸の束を、馴染みの糸屋で購入するのが一般的となっています。

染料

染料の種類

染料には直接染料と媒染染料とがあります。
アニリン染料とアゾ染料、ウコンなどの天然染料の一部は媒染剤を用いずに染色する直接染料。
天然染料の多くとクローム染料は媒染剤を用いて染料を定着させる媒染染料です。
媒染には糸を媒染液に浸した後に染色する「先媒染」、染料に媒染剤を加えて染色する「同時媒染」、染色後に媒染液に浸して定着させる「後媒染」があります。
なお、紡績後に染色する「後染め」が一般的ですが、ケルマンでは紡績前に染色する「先染め」が採用されています。

天然染料

植物性染料と動物性染料の総称で、鉱物を加工した顔料を含めることもあります。
「草木染」という言葉のとおり、そのほとんどが植物性染料で、明礬などの金属塩を媒染剤として用いる媒染染料が大半。
天然染料による染色は複雑で手間がかかる上、耐光性や耐水性に劣るという欠点があります。
しかし、天然染料ならではの趣を好む向きも多く、現在でも一部の高級絨毯などに用いられています。

アニリン染料

アニリン(アミノベンゼン)から抽出される合成直接染料です。
1856年に英国の化学者ウィリアム・ヘンリー・パーキン(1838~1907年)が、マラリアの特効薬であるキニーネを抽出中に偶然発見し、「モーブ」という薄紫色の染料として商品化したのが最初。
1880年代にはイランやトルコなどの手織絨毯の原産国にも伝搬しました。
色数は少なく、発色が強烈な割に退色しやすいのが特徴です。
イランでは1903年に輸入・使用が禁じられました。

アゾ染料

アニリン染料に少し遅れて開発された、アゾ基(−N=N−)を持つ合成直接染料です。
合成が比較的容易で安価。
さらに色数が多く深みのある色が得られることから、現在でも流通している染料の半分以上を占めると言われます。
しかし色によっては定着が悪い上、有害性物質を含むものもあることが報告されています。

クローム染料

クローム塩などの金属化合物を媒染剤として用いる合成染料です。
媒染剤との化学結合によって繊維に染着するため、退色しにくいのが特徴。
アゾ染料を改良したものゆえ色数は豊富ですが、アゾ染料よりも高価となります。
手織絨毯には1940年代に使用されはじめ、その後主流となりました。

織機

水平型織機

水平型移動式
水平型移動式

遊牧民・半遊牧民が使用する原始的な織機で、上下のビーム(梁)をそれぞれ地面に打ち込んだ2本の杭で固定しただけの単純な構造。
縦糸を上下に振り分ける綜絖(そうこう、あるいは中筒)は、三角錐に括り付けるか2本のY字で支えるかした棒に固定します。
杭を抜けば携帯でき、一時間ほどで組立あるいは分解が可能なため、移動生活に向いています。

水平型固定式
水平型固定式

主に部族出身の定住民が使用している織機で、竪形固定式を水平型にした造りです。
サイズに限界がある移動式とは異なり、大きな絨毯を製作することも可能。
移動式は木製ですが、固定式には金属製のものもあります。

竪型織機

竪型固定式
竪型固定式

水平型を進化させたもので、竪型の基本となるタイプです。竪型は水平型のように場所をとらないのが最大の利点。固定式は作業の進行に合わせて座る高さを変える面倒があるものの、進行状況や仕上がり具合を一目で確認することが可能です。
都市部では小さなサイズの製作に用いられますが、農村部においては大きなサイズに至るまで固定式を用いているところもあります。

竪型回転式
竪型回転式

竪型固定式を改良したもので、イランでは「タブリーズ式」とよばれます。
作業の進行に合わせて回転させられるのが特徴。
座る位置を一定に保つことができる上、同じ大きさの固定式に比較すると2倍の長さの絨毯を製作することが可能です。

竪型巻取式
竪型巻取式

イランでは「ケルマン式」とよばれ、下方のビームがローラーになっているタイプ。
織りあがった部分をこれで巻取りながら作業を進められるため、大きなサイズやランナーの製作に適しています。
前で巻取るタイプと後ろで巻取るタイプの2つがあります。

製織具

指図紙(ナグシェ)

意匠師が作成した指図紙を切断して板に貼り付けます。
フィールドとボーダー、ガードは別になっており、それぞれを組み替えて多様な作品を製作することができます。

柄見本(ワギレ)

農村部で下絵の代わりに使用されることがある柄見本(サンプラー・ラグ)。
イランでは「ワギレ」と呼ばれます。

製織刀(チャクーエ・バフト)

イランでは「チャクーエ・バフト」と呼ばれる色糸を結んで切るためのナイフ。
農村部の織子や部族民が使用するものは単純な作りの小刀ですが、都市部においては先端が鈎針のようになったものを使います。
とりわけトルコ結びの場合、前後2本の縦糸を一組としてつまみ、パイル糸を先端部で鈎針で引掛けて結び目を作ってゆきます。
刃の部分が1ラジ(6.65センチメートル)になるように製作されるのが普通。

緯打具(ダフティーン)

一段パイルを結び終えると横糸を筬(おさ)で縦糸の間に通した後、柄のついた鉄櫛で強く叩いてしっかりと固定させます。
この鉄櫛を「ダフティーン」と呼びます。
サイズ、形状ともにいくつかの種類があります。

手鋏(ゲイチー・ダスティー)

イランでは「ゲイチー」と呼ばれる鋏ですが、絨毯製作に用いられるものは柄の部分が突出した形状になっています。
パイルを数列結び終える毎に、鋏で短く刈ってゆきます。

剪毛刀(バルパーキー)

織りあがって機から下ろした絨毯を剪毛(シャーリング)するためのもの。
バターナイフのような形状で、利き手で柄を握り、もう片方の手を添えてパイルを刈ってゆきます。

剪毛機

現在は掃除機の先に刃物を取り付けた剪毛機(シャーリング・マシーン)が普及しています。

構造

縦糸

縦糸の重なり方の違い

縦糸の重なり方の違いにより、絨毯の強度は変わってきます。
縦糸の重なり方は「ダブル・ノット」「セミ・ダブル・ノット」「シングル・ノット」の三つに分かれますが、これは地域や年代の違いによるもので、同一産地の作品の優劣を表すものではありません。

ダブル・ノット(ルール・バフト)

パイルを絡めた2本の縦糸がほぼ完全に上下に重なる構造。
露出している縦糸の列の奥にもう1列縦糸が隠れており、二重構造となっているため堅牢で耐久性に優れています。
シティーラグはこのルール・バフトが一般的。

セミ・ダブル・ノット(ニム・ルール・バフト)

パイルを絡めた2本の縦糸が少しずれて重なっている構造。
ニムはペルシャ語で「半分」の意です。
ビレッジラグやトライバルラグの多くはこの構造。
ルール・バフトほどではありませんが、タフト・バフトよりは丈夫です。

シングル・ノット(タフト・バフト)

縦糸が横一列に並んでいる構造です。
パイルは2本の縦糸に絡めますが、タフト・バフトはパイルを絡めた縦糸の列がすべて露出するため、ノット数は縦糸の列の半分が正解。
絨毯は薄くなるものの、堅牢さはルール・バフトやニム・ルール・バフトに劣ります。

横糸

横糸の通し方

横糸はそれぞれの縦糸に対し、交互に掛けてゆきます。
一列通し終わると緯打具で叩いて固定させます。
横糸の本数により「シングル・ウェフト」「ダブル・ウェフト」「トリプル・ウェフト」と呼称されます。

シングル・ウェフト

1本の太い糸を横糸として用いたもの。
イラン北西部から中西部に掛けて産出される絨毯によく見られます。
シングル・ウェフトだから弱いということはありません。

ダブル・ウェフト

1本の太い糸と1本の細い糸、もしくは2本の同じ太さの糸を交互に掛けたもの。
前者は太さの違いによる張力差からルール・バフトもしくはニム・ルール・バフトの構造になり、後者は張力の差がないためタフト・バフトの構造になります。

トリプル・ウェフト

ダブル・ウェフトの進化形で、3本の横糸を用いたもの。
トリプル・ウェフトはサファヴィー朝期に製作された一連の「花瓶文様絨毯」が有名ながら、現在はほとんど用いられていません。

例外

画像は4本の横糸を用いたギャッベ。
古いギャッベの中には、4本以上の横糸を使用したものも存在しています。

結び(ノット)

イランで用いられている結び

イランで用いられている結びはトルコ結びとペルシャ結び。
ほかにはスペイン結び、チベット結びなどがあります

トルコ結び(ゲレ・トルキー)

「ギョルデス結び」ともよばれ、トルコ、コーカサス地方、イラン西部を中心に用いられています。
ギョルデスはトルコ西部の絨毯産地。
鉤針を使用して結べるため、ペルシャ結びに比べて製作期間を大幅に短縮できます。

ペルシャ結び(ゲレ・ファルシー)

「セネ結び」ともよばれ、西部を除くイラン、トルクメニスタン、カザフスタン、アフガニスタン、ウズベキスタン、パキスタン、インドなどで用いられています。
セネはイラン北西部の絨毯産地ですが、セネ産の絨毯はトルコ結びで製作されるのが普通。
トルコ結びよりもタイトになります。

ジュフティ結び(ゲレ・ジュフティ)

ジュフティは双子の意で、本来2本の縦糸に絡めるべきパイルを4本の縦糸に絡める「ごまかし」の技法。
完成までの日数を短縮することができますが、耐久性は大きく損なわれます。
ジュフティ結びがよく用いられる産地としてはイスファハン、ナイン、タバス、ケルマン、ビルジャンドなどがあります。
ジュフティ結びには画像の例以外にも様々な方法があり、完全に見破るには経験が必要。

エッジ(シラゼ)

エッジの処理の仕方

エッジの処理の仕方

エッジは製織の進行に合わせながら処理してゆくのが基本ですが、ペアで製作する場合、あるいは産地によっては絨毯を機から降ろした後、別に用意したエッジを取り付けることもあります。
シングル・エッジとダブル・エッジの二つに分けられます。

シングル・エッジ(ハシリ)

シングル・エッジ(ハシリ)

イランでは「ハシリ」と呼ばれる、左右端の縦糸2本以上で平織を作るようにして仕上げたエッジ。
ハシリは「簾」(すだれ)の意で、縦糸のラインが簾のように見えることからそう呼ばれます。

ダブル・エッジ(ルール)

ダブル・エッジ(ルール)

左右端の縦糸2本以上をまとめてかがったもので、イランでは「ルール」と呼ばれます。
今日、ペルシャ絨毯の大半はこのタイプ。
絨毯を織機から外した後、別に製作したコード状のエッジを縫い付けることもよくあります。

フリンジ(リーシェ)

フリンジの処理の仕方

フリンジの処理の仕方

パイルを結び始まる前に、まず平織を作ります。
絨毯を機からおろした後、平織を解いてフリンジにします。

平織(ゲリーム)

平織(ゲリーム)

織りあがったばかりの絨毯の上下端は平織=キリム(イランではゲリーム)の状態になっています。
これを解いてフリンジに仕上げますが、イランでは平織のままが好まれます。
その方が傷みにくく、傷んだとしても解けばフリンジにできるから。
また平織は構造の良し悪しや、織子の技量を見極めるポイントにもなります。
一般に、よい絨毯はこれがを綺麗に仕上がっています。

団子結び(ゲレ・ノホディ)

団子結び(ゲレ・ノホディ)

日本で言うところの「団子結び」。
ノホディはヒヨコ豆の意で、ゲレ(結び)がヒヨコ豆に見えることからそう呼ばれます。
かつては多くの産地で用いられていましたが、イスファハンなどを除くとド・ゲレに取って代わられています。

二結び(ド・ゲレ)

二結び(ド・ゲレ)

ドは数字の「2」、ゲレは「結び」で、いわゆる二(ふた)結び。
外れにくく見た目も美しいことから、現在はこのタイプが主流になっています。

斜め格子結び(ルネ・ザンブリ)

斜め格子結び(ルネ・ザンブリ)

ルネは「巣」、ザンブルは「蜂」で、ルネ・ザンブリは「蜂の巣」の意。
ゲレ・ノホディもしくはド・ゲレの結び目を半分ずつずらしながら2列以上重ねたもので、蜂の巣のように見えることからそう呼称されます。
「ザンブリ」と略されるのが一般的です。

文様

アラベスク文様

アラベスク文様

アラベスクは本来「アラビア風文様」の意ですが、ペルシャ絨毯でいうアラベスクは二股に分かれた鋭利な花文様を指します。
形状が龍の角に似ていることから「ドラゴン・ヘッド」とも呼ばれます。
サファヴィー朝の時代にはこの文様を主役にした作品が製作されており、19世紀末のビジャー絨毯にも同様のデザインを見ることができます。
20世紀に入ってからはイスリム文様の先端を飾る装飾として、あるいはボーダーやガードのデザインとして使用されることが多くなりました。
一対のアラベスクでパルメットを囲ったデザインは、形がそれに似ていることから「サモワール」(湯沸器)と呼ばれます。

イスリム文様

イスリム文様

イスリムは「蔓草」の意。
フィールド上に螺旋を描くように配置されるのが一般的です。
絨毯のデザインに躍動感を与えるものとなっています。

糸杉文様

糸杉文様

糸杉はイランでは清廉潔白または容姿端麗の象徴として例えられます。
戴冠式絨毯に見られるようにサファヴィー朝の時代から用いられているモチーフですが、最近ではパネル文様に描かれる文様の一つとして登場することが多くなっています。

隠し絵文様

隠し絵文様

細密画に見られる隠し絵の技法を採り入れた文様。
細密画風の作品だけでなく、アラベスク文様やジル・ハキ文様とともに用いられることもあります。
ユーモア好きのイラン人の性格を反映する文様と言ってよいでしょう。

額縁文様

額縁文様

額縁はペルシャ語でガーブで、額縁文様は「ガービ」と呼ばれます。
コンパートメント文様と混同されることがありますが、コンパートメント文様とは異なり、はっきりとした枠組が設けられているのが特徴。
ストライプ文様などと組み合わせて使用されることもあります。

カタリナの輪文様

カタリナの輪文様

アラク地方の絨毯に見られます。
カタリナとは「アレクサンドリアのカタリナ」のことで、キリスト教の聖人で殉教者。
彼女はローマ皇帝であったマクセンティウスにキリスト教への迫害をやめるよう説いたため、大きな車輪に括りつけられて転がされるという拷問を受けたと伝えられます。
この文様は拷問具を意匠化したものではなく、ロゼット文様の進化形であると考えられます。

花瓶文様

花瓶文様

花瓶はペルシャ語で「ゴルダニ」。
水を湛えた花瓶から花々が湧き出す姿は、砂漠の民であるイラン人たちにとって豊かさの象徴であり続けてきました。
有名な花瓶文様絨毯に見られるように、サファヴィー朝期には既にこの文様の絨毯が製作されており、ペルシャ絨毯の文様としては長い歴史を持つものと考えられます。
フィールドやメダリオン・コーナーの装飾として用いられるほか、ミフラブ文様と組み合わせた「ミフラブ・ゴルダニ」や、花瓶文様を連続させた「ジリ・スルタニ」等、様々な使用例があります。
ジリ・スルタニはカジャール朝期のイスファハン総督であったジリ・スルタンの名に由来したものと言われます。

ガラット文様

ガラット文様

ガラットはペルシャ語で「普通でない」「珍しい」の意。
文様としてのパターンがある訳ではなく、ペルシャ絨毯における文様の分類から外れたデザインの総称です。

カルトゥーシュ文様

カルトゥーシュ文様

カルトゥーシュとは紋章や文字を囲む装飾枠飾りのことで、イランでは「キャティベ」と呼ばれます。
絨毯には作者名や詩を囲んだり、ペンダントに連なる形で使用される例がよく見られます。
メダリオンを囲むようにフィールド全体に配されたカルトゥーシュ文様としてはクムのミールメヒディの作品が有名です。

ガンディール文様

ガンディール文様

ガンディールは「吊ランプ」の意。
ミフラブ文様に組み合わせられるほか、メダリオンの外周を飾る装飾あるいはメダリオンから延びるペンダントとして用いられます。

ギュル文様

ギュル文様

ギュルはトルクメンの部族の紋章です。
ペルシャ絨毯に見られるのはテッケ・ギュルとジュバル・ギュルがほとんど(※よくある質問・上級編を参照)。
イラン国内に暮らすトルクメンはヨムート族が大半で、残りはテッケ族とギョクレン族ですが、いまでは部族に関係なく人気のあるギュルを織るようになっています。

クーフィー文様

クーフィー文様

クーフィーはペルシャ語にも用いられているアラビア文字の書体の一種。
アッバス朝の都であったイラク中央部の町クーファに由来し、アラビア文字の書法としては最古のものとされています。
モスクなどのタイル装飾の文様としても使用され、とりわけイランにおいては聖なる名前で建物全体を覆う「バンナーイ」と呼ばれる技法が生まれました。

雲のリボン文様

雲のリボン文様

15世紀に中国より伝わったと言われる文様で、「クラウド・バンド」と俗称されます。
形が似ているものがあることからギリシャ文字のΩ(オメガ)を模ったものと説明されることがありますが、それは間違いで、古くから様々なバリエーションが存在しています。

コーカサス文様

コーカサス文様

イランでは「カフカズ」と呼ばれるコーカサス風の幾何学文様を指します。
イラン北西部のアルデビルやメシキンシャハルのほか、北東部のグーチャン、中央部のクムでもこの文様の絨毯が製作されています。

小花文様

小花文様

イランでは「ゴル・リズ」と呼ばれる文様で、19世紀末から20世紀初頭に活躍したマシャドの絨毯作家、アモグリの作品が有名。
最近ではクムで産出されるシルク絨毯のデザインに多く見られます。

ゴル・ファランギ文様

ゴル・ファランギ文様

ゴルは「花」、ファラングは「ヨーロッパ」で、ゴル・ファランギは「ヨーロッパの花」の意です。
19世紀後半にフランスのオービュッソンやサボネイルで製作されたカーペットのデザインを模したもので、写実的な花文様を束ねたデザイン。
19世紀末から20世紀初頭にかけて製作されたセネ産やビジャー産に見られるほか、アメリカン・サルークにもこのデザインが採用されています。
いまでは主役となることはあまりなく、デザインに華やかさを演出するアクセントととして用いられることが多いようです。

ゴロ・ボルボル文様

ゴロ・ボルボル文様

ゴルは「花」、ボルボルは「ツグミ」。
イスファハンの細密画家、ホセイン・モッサバル・アルモルキのデザインとされ、セーラフィアン一家の作品が有名ですが、タブリーズのアジムザデ・タギーザデが考案したとする説もあります。

ゴンバド文様

ゴンバド文様

モスクのドーム真下から仰視したデザイン。
ゴンバドはドームの意で、イランでは「ゴンバディ」と呼ばれます。
オジーブを放射状に連続させたものですが、フィールド全体に配されることもあれば、メダリオンとして使用されることもあります。
後者の中でもメダリオンを4本の柱で支えたデザインは「シャヒアット」と呼称されます。

コンパートメント文様

コンパートメント文様

コンパートメント文様はイランでは「バンディ」と言いますが、バンドはアラビア語起源のペルシャ語。
普段、日本人が何気なく使っているバンド(帯)という語も実はここから来ています。
コンパートメント文様はいわゆる連結文様ことで、あるモチーフを一定方向へ直線あるいは曲線で繋いだものです。

細密画文様

細密画文様

細密画は書物の挿絵などに用いられた細密で装飾的な絵画のことで、ミニアチュールと呼ばれます。
起源はアッバス朝期の宮廷に遡り、13世紀にイル・ハン朝を興したモンゴル人が中国絵画の技法を伝え、独自の発展をするに至ったと伝えられます。
ティムール朝の時代に最盛期を迎えましたが、ペルシャ絨毯の文様として採り入れられたのは19世紀末のことで、絨毯を壁掛としても用いる欧米人へ向けて輸出されました。

シェイフ・サフィ文様

シェイフ・サフィ文様

1539・40にマクスド・カシャーニが製作したいわゆる「アルデビル絨毯」のデザインで、円形のメダリオンの周囲に16弁のオジーブを配し、それを四分割したものをコーナーに採用したもの。
アルデビル絨毯が奉納されていたシェイフ・サフィー廟からそう呼称されます。
シェイフ・サフィーはサファヴィー朝の母体となった神秘教団の開祖の名です。

四季文様

四季文様

タブリーズの絨毯作家、イジャディによるデザインで「チャハル・ファスル」と呼ばれます。
フィールドを四分割し、春夏秋冬の景色を配したもの。
中央にはダリウス1世の肖像が置かれるのが通常です。

枝垂れ柳文様

枝垂れ柳文様

イランでは「ビード・マジュヌーン」と呼ばれる文様で、ビードは「柳」、マジュヌーンは「狂人」を意味します。
狂人とはニザーミの叙事詩『レイラとマジュヌーン』の主人公カイスのこと。
レイラという名の美女に恋するあまり狂人となったカイスがゆらゆらと歩く姿を風に揺れる柳に例えたものと言われます。
クルドやバクチアリが製作する絨毯のほか、ジョーシャガンやメイメで産出される絨毯にも見ることができます。

樹木文様

樹木文様

樹木はペルシャ語でデラフトと言い、樹木文様は「デラヘティ」。
樹木は水の所在を表し、また果実を湛える樹木は生命の象徴とされてきました。
それゆえ「生命の樹」と呼ばれることもあります。
古来イランでは庭に果樹園を設けることはステイタスであり、それは現在も変わりません。
フィールドいっぱいに樹木のみを配したもの、二本の樹木をミフラブ文様と組み合わせたものなど、様々なパターンがあります。
中でも様々な灌木をフィールド全体に配したデザインは「クンメ」と呼ばれます。

狩猟文様

狩猟文様

サファヴィー朝第2代君主であったイスマイル1世の時代に製作された絨毯にあるように、宮廷画家によって描かれたデザインをもとにしたものと推測されます。
背後に向けて騎射する姿は「パルティアン・ショット」と呼ばれ、ササン朝の軍勢に追われたアルケサス朝の兵士の姿を連想させることからそう名付けられました。

ジョーシャガン文様

ジョーシャガン文様

ジョーシャガンはイラン中央部、イスファハン州にある町の名。
ジョーシャガンと隣接するメイメで産出される絨毯のデザインとして有名です。

ジル・ハキ文様

ジル・ハキ文様

ジル・ハキはペルシャ語で「土の中」を意味します。
土中から出土した壺や器、水差し等を意匠化したもので、タブリーズやカシュマールで産出される絨毯によく見られます。

スカラベ文様

スカラベ文様

スカラベは甲虫のフンコロガシのこと。
フンコロガシが動物の糞で作る球体が太陽を連想させることから、古代エジプト人はこの虫を太陽神ケペリの化身として、また復活の象徴として崇拝し、これを形どって護符としていました。
カシュガイが製作する絨毯にスカラベを連想させる文様が見られ、話の面白さもあってか、それに関連づけて語られることが多いのですが、実はまったく関係ないことがわかっています。
とは言え、この文様が何に由来するものかについては甚だ曖昧で、羊の角だの蠍だの言われるものの、決定打となるものはありません。
カシュガイに隣接するハムセが製作する絨毯にもこの文様を用いたものがあります。 。

ストライプ文様

ストライプ文様

もとはカシュガイのデザインで、イランでは「モハラマト」と呼ばれます。
カシュガイのほか、テヘランやクムなどで産出された絨毯にも見ることができます。

千花文様

千花文様

イランでは「ヘザーレ・ゴル」と呼ばれる文様で、ケルマン地方の絨毯に代表されます。
フィールド一面を花々で覆った華やかなデザイン。

走犬文様

走犬文様

ペルシャ絨毯のガードに使用される事が多い文様で「ランニング・ドッグ」と呼ばれます。
走る犬の意ですが、単なる俗称にすぎません。
古来イスラム世界では犬は不浄の動物とされ、それゆえ絨毯のモチーフとして登場することは稀でした。
最近になってイランでも犬を飼う人が現れはじめましたが、人目を避けて夜に散歩させるなど、まだまだ気遣いが絶えないようです。
文様の由来については明確ではありませんが、魔除けとなる火をイメージしたものではないかと考えられます。

タイル文様

タイル文様

イランでは「カシ・カリ」と呼ばれるタイル装飾を絨毯の文様として採り入れたもの。
イスラム建築には欠かせないタイル装飾ですが、イランではサファヴィー朝の時代に「ハフト・ランギ」(7色)と呼ばれる色の混ざらない彩釉タイルが生産されるようになり、カシャーンとタブリーズは、その産地として有名でした。
余白が残ることを嫌ういわゆる「空間の恐怖」から、繰り返しによって無限に広がる文様が主流です。

庭園文様

庭園文様

ティムール朝後期からサファヴィー朝初期にかけて活躍した宮廷画家、ビフザド(1455年?~1530年代)が考案したとされるデザインで、ペルシャ式庭園を真俯瞰で意匠化したもの。
ビフザドは細密画の権威として知られ、ティームール朝のヘラート政権君主であったホセイン・バイカラに仕えた後、サファヴィー朝のイスマイル1世によって宮廷工房の長に任じられました。
16~17世紀の作品ではフィールド上に十文字あるいはH形に水路を配したデザインですが、18世紀に入るとより複雑な形に変化しました。

動物文様

動物文様

紀元前5世紀頃に製作されたと推定される「パジリク絨毯」にはトナカイに似た鹿の姿が織り出されており、絨毯の文様として長い歴史を持つものと考えられます。
サファヴィー朝期に製作された絨毯には、おそらく宮廷画家が描いた下絵に基づいたであろう躍動感あふれる動物がフィールドを飾っていて、当時からすでに人気のモチーフであったことがわかります。
よく見かけるのはライオンや豹、鹿や兎などですが、13世紀のモンゴルの侵攻により伝えられた龍や麒麟など、中国の想像上の動物を織り出したものもあります。

鳥文様

鳥文様

鳥はペルシャ語で「パランデ」。
『コーラン』にはソロモンがしたためた来訪を求める手紙を、戴勝(やつがしら)がシバ(現在のイエメン)のビルキス女王のもとへ届けた記述があり、古来イスラム世界では鳥はよい知らせを運んでくれる存在として愛されてきました。
イランでは現在も小鳥を飼うことは紳士淑女の嗜みとされています。

歯文様

歯文様

「ティース・パターン」と俗称される文様で、三角形を一列に並べたもの。
都市部においてはガードに使用される場合がほとんどですが、農村部や部族民の絨毯では、菱形や六角形のメダリオンの外周に配されることもあります。

ハサン・ハニ文様

ハサン・ハニ文様

20世紀初頭に活躍したケルマンの下絵師、ハサン・ハーンが考案したもので、フィールド上に大きく配した楕円形の中に人物や風景を織り出した窓絵風のデザイン。
ケルマン以外の産地で採用されることは稀です。

ハジ・ハヌミ文様

ハジ・ハヌミ文様

小さなロゼット(後述)を整然と並べたデザインで、ゴルパイガンやクムなどで産出される絨毯によく見るデザイン。
古いテヘラン産やカシャーン産などでは、ミフラブ文様と組み合わせた花瓶文様に取り入れられたものもあります。
日本の小紋を連想される愛らしい文様です。

ハシュト・ゴル文様

ハシュト・ゴル文様

古いセネ絨毯に見られるデザインで、八つのペイズリーを花状に並べたもの。
オールオーバーとして用いられることがほとんどです。

ハタム文様

ハタム文様

ハタムは寄木細工の意。
寄木細工はハタム・カーリーと呼ばれ、現在もイランの伝統工芸品の一つとしてイスファハンなどで製作されています。

パネル文様

パネル文様

庭園文様が進化したもので、イランでは「ヘシュティ」と呼ばれます。
ヘシュトは日干煉瓦のこと。
縦横に規則正しく配置された水路がそれに見えることからつけられた呼称です。
もとはバクチアリが製作する絨毯のデザインであったことから「バクチアリ・デザイン」と呼ばれることもありますが、いまではクム産やビルジャンド産にも多く見られます。

ハルチャンギ文様

ハルチャンギ文様

ハルチャングは「蟹」の意。
ナナジで産出される絨毯に見られるデザインで、ややジオメトリックに織り出された花葉が蟹を連想させることからそう呼ばれますが、蟹を意匠化したものではありません。
欧米では「ブロッサム・パターン」と呼ばれることもあります。

パルメット文様

パルメット文様

花の側面形を意匠化したもので、花の種類については百合の花と説明されることが多いのですが、正しくは「蓮の花」です。
蓮は水に浮くことから、古来イランやインドでは豊穣のシンボルでした。
パルメット文様はイランでは「シャー・アッバシー」と呼ばれ、ペルシャ絨毯のデザインとしては最もポピュラーなもの。
シャー・アッバシーはサファヴィー朝第5代君主であったアッバス1世の名に由来するものです。

風景文様

風景文様

イランでは「マンザレ」と呼ばれるデザインで、風景を写実的に織り出したもの。
19世紀後半になってから欧米人の趣向に合わせて考案されたもので、サファヴィー朝期までの絨毯にはなかったデザインです。

部族文様

部族文様

ペルシャ語では「イリヤティ」。
イルは部族の意で、部族調のデザインをこう呼びます。
特定の文様を指したものではなく、デザインの総称です。

ペイズリー文様

ペイズリー文様

ペイズリー文様の起源はイランにあると言われ、ゾロアスター教徒が拝む炎を意匠化したとする説、風に揺れる糸杉に由来するとした説等、様々な説があります。
イランからインドに伝わり、やがてカシミール地方で産出されるショールのデザインとして定着しました。
その後、19世紀に英国スコットランドのペイズリー市でこの文様の織物の製作が盛んになったことから、この名で呼ばれるようになったと言われます。
イランでは「ボテ」と呼ばれるペイズリー文様は、ケルマン地方のショールの文様としてカシミールから逆輸入され、ショール産業の衰退に伴い絨毯のデザインに採用されるようになりました。

ヘバトゥルー文様

ヘバトゥルー文様

ヘバトゥルーはカシュガイの支族名に由来するものと言われます。
六角形のフィールド上に菱形のメダリオン、コーナーにはハシュト・ゴルやスカラベ等の文様を配したデザインで、カシュガイやアバデで産出される絨毯のデザインとして有名です。

ヘラティ文様

ヘラティ文様

ヘラティはロゼットを囲った菱形の四方をパルメットとアカンサスの葉で飾った文様で、イランではアカンサスの葉の形状が魚に似ていることからそれを指す「マヒ」と呼ばれます。
ヘラティ文様の起源についてはアナトリア高原やクルディスタンとする説もあるものの、一般にはホラサン地方と考えられており、ヘラティの名はかつてホラサン地方の中心都市であったヘラート(現在はアフガニスタン領)に由来します。
18世紀のナーディル・シャーの遠征によりイラン各地に拡がったとされています。

マシャエキ文様

マシャエキ文様

フィールド全体に鳥が羽を広げたような形のカルートゥーシュをあしらったデザイン。
タブリーズやサルーク、サラブで産出される絨毯に見られ、ヘラティ文様が配されるのが一般的です。
マシャエキはタブリーズの絨毯商の名。

ミナ・ハニ文様

ミナ・ハニ文様

ロゼットを菱形で囲い四方にロゼットとパルメットを配した文様。
ヘラティ文様に似ていますがアカンサスの葉はないのが特徴。ミナ・ハニの名はミナ・ハーンに由来するものと言われます。
ベラミンで産出される絨毯の代表的文様として知られていますが、バルーチ等の部族民もこの文様を用いています。

ミフラブ文様

ミフラブ文様

ミフラブはモスクの壁龕のこと。
イスラム教徒にとっては「天国への入口」を意味します。
もとは礼拝に用いる簡素なデザインでしたが、のちに華美な装飾が施されるようになりました。
花瓶文様と組み合わせた「ミフラブ・ゴルダニ」が多く見られますが、とりわけ柱を配した玄関ポーチ風のデザインは「サルダル・ガーヒ」と呼称されます。

ミール文様

ミール文様

ミールは「松ぼっくり」の意。
ペイズリー文様を簡素化し更に小型化したもので、西洋梨のようなズングリとした形状が特徴です。
セラバンド地方の絨毯のデザインとして有名ですが、とりわけ19世紀から20世紀初頭にかけて製作されたセラバンド絨毯は「ミール・セラバンド」と呼ばれています。

メムリンク文様

メムリンク文様

クルドやルリの絨毯に見られる文様で、階段状の菱形の周りを直角にカーブした鉤状の飾りで囲ったもの。
「メムリンクのギュル」とも呼ばれます。
(ハンス)メムリンクは15世紀後半に活躍したベルギーの画家で、初期フランドル派を代表する画家の一人。
『聖ヤコブと聖ドミニコの間にいる聖母マリアとその子』(1488〜1490年作)にこの文様を織り出した、おそらくアルメニア産であろう絨毯が描かれていることから、彼の名で呼ばれています。

モストフィ文様

モストフィ文様

二対の渦巻状のイスリムをゴル・ファランギの花束に連結させたデザイン。
19世紀末から20世紀初頭にかけてサルークに近いメイガンで製作された絨毯のデザインとして知られています。
モストフィの呼称は19世紀後半にタブリーズからアラク地方にやってきた絨毯商の名に由来するとされますが、詳しいことはわかっていません。

龍文様

龍文様

龍(ドラゴン)は中国から伝わり、戴冠式絨毯などサファヴィー朝に製作された絨毯にも登場するモチーフ。
コーカサス絨毯にはかなりデフォルメされた龍を織り出した作品があり、同様のデザインはイランでは北西部のアゼルバイジャン地方のほか、北東部のグーチャンで産出される絨毯に見ることができます。

ロゼット文様

ロゼット文様

花形装飾を表す言葉で、ロゼットは薔薇(ローズ)に由来します。
中心から放射状に花弁を配したその文様は、古代エジプトに起源をもつものと言われます。
エジプトからアッシリア王国、そしてアケメネス朝ペルシャへと伝搬したとされますが、そのモチーフは語源となった薔薇ではなく、蓮の花であるというのが定説。
ペルシャ絨毯ではボーダーに配されることが多く、「カタリナの輪」と俗称される突起のついた花文様もロゼット文様の変形と考えられます。

おすすめの本

国内外で出版されたペルシャ絨毯・トライバルラグの本のうち、おすすめしたい何冊かをご紹介します。

ペルシア絨毯図鑑

ペルシア絨毯図鑑

編者:手織絨毯協会
出版社:アートダイジェスト
出版年:1986年
ISBN:4900455024

アンティーク・オールドを中心にペルシャ絨毯の名品91点をカラー写真と詳細な説明文で紹介しています。
エイミ岡田氏による「絨毯ジャパネスク」と題したインテリアコーディネート例、国立民族学博物館名誉教授の杉村棟氏によるシルクロードの手織絨毯の概説。その他、ペルシャ絨毯の基礎知識から地名/部族名、デザイン、絨毯の古典、技術、イスラムの王朝、人物名/その他についての解説もあり、入門編として最適な一冊。
すでに絶版となっていますが、中古本ならAmazonなどで入手可能(2018年9月現在)ですので、入手可能なうちにご一読をおすすめします。

ペルシャ絨毯文様事典

ペルシャ絨毯文様事典

編著者:三杉隆敏・佐々木聖
出版社:柏書房
出版年:1998年
ISBN:4760116516

アンティーク・オールドのペルシャ絨毯の名品155点を詳細なカラー写真で紹介した豪華な一冊です。
作品はメダリオン・コーナー・タイプ、メダリオン・タイプ、オーバーオール・タイプ、メヘラブ・タイプ、ピクチュアー・タイプの5つに分類されており、特徴的な箇所については拡大写真を掲載。
とても見やすく構成されています。
巻末にはペルシャ絨毯の文様や文化についての記述もあり。
著者は陶磁器学者の三杉隆敏氏と現(株)光和代表取締役の佐々木聖氏で、1990年にハードカバー版が、1998年にソフトカバー版が出版されました。
すでに絶版となっていますがAmazonなどで中古本の入手が可能です(2018年9月現在)。

カーペットストーリー・ペルシア編

カーペットストーリー・ペルシア編

著者:エッシー・サカイ(横張和子訳)
出版社:千毯館
出版年:1993年
ISBN:4915790169

英書『The Story of Carpets』の和訳本です。
アンティーク・オールド絨毯を中心に157点のペルシャ絨毯(ペルシャ以外の絨毯も一部あり)をオールカラーで紹介。
「はじめに」「遥かな僻の地において」「秘密を解き明かす」「模様を読む」「絨毯を演出する」「真実を語る」「語られざる富」「地域別」の8部構成です。
本書もすでに絶版になっているようですがAmazonなどで入手可能(2018年9月現在)。

ORIENTAL CARPET DESIGN(英語)

Oriental Carpet Design(英語)

著者:P. R. J. Ford
出版社:Thomas & Hudson
出版年:1992年
ISBN:0500276641

オリエンタルラグ関連書籍のベストセラーです。
ペルシャ絨毯を中心に、トルコ、アフガニスタン、インド、中国の絨毯を大量のカラー写真(一部はモノクロ写真)を用いて紹介。
マイナー産地についても詳細に説明されており、オリエンタルラグの概要はこの一冊で知ることができます。

The Illustrated Buyer’s Guide to Oriental Carpets(英語)

The Illustrated Buyer’s Guide to Oriental Carpets(英語)

著者:J. R. Azizolahoff
出版社:Schiffer Pub Ltd
出版年:2002年
ISBN:0764314874

長年オリエンタルラグの取引に関わってきた著者が、イラン、トルコ、インド、中国の手織絨毯を中心に(機械織絨毯も一部あり)、アンティークから現代物まで370点以上のカラー写真を用いて紹介した一冊です。
価格が併記されているので、海外におけるオリエンタルラグの相場を知るにも最適。
ただし、ペルシャ絨毯については出版当時の米国とイランとの関係上、アンティーク・オールドの掲載があるのみです。

Tribal Rugs(英語)

Tribal Rugs(英語)

著者:James Opie
出版社:Laurence King Publishing
出版年:1998年
ISBN:185669125X

トライバルラグの収集家・研究家として世界的に知られるジェームズ・オピー氏が著した一冊。
イラン、トルコ、トルクメニスタン、アフガニスタンの貴重なアンティーク・トライバルラグの逸品がオールカラーで紹介されています。

TRIBAL RUGS(英語)

TRIBAL RUGS(英語)

著者:Brain W. Macdonald
出版社:Acc Pub Group
出版年:2017年
ISBN:1851498567

ジェームズ・オピー氏と双璧をなす、トライバルラグ収集家・研究家のブレイン・マクドナルド氏渾身の一冊。
イラン、トルクメニスタン、アフガニスタンの部族民と、彼らが製作するトライバルラグについて詳細に解説されています。

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