トライバルラグ

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トライバルラグとは

トライバルラグとは

直訳すれば「部族絨毯」。
イランやトルコ、アフガニスタンなどの国々に暮らす少数民族たちによって製作される絨毯で
ユーモラスで素朴な作風が魅力です。

わが国では、これまであまり紹介されてこなかったトライバルラグですが
欧米ではとても人気があり、クリスチャン・ラクロワをはじめとする
有名デザイナーたちにも愛用されていることが知られています。

フォークアートを思わせるデザインと、ときに大胆な色使いは
モダンなインテリアにもよく合います。

フルーリアでは、心の温もりや安らぎをも感じさせてくれる
トライバルラグの数々を取り揃えています。

※アフシャリ、バクチアリについては、製作された町や村を特定できるものは「ペルシャ絨毯」に分類しています。
※シラズは部族ではなくイラン南西部最大の町の名ですが、同時に集積される絨毯のうち製作した部族を特定できないものが「シラズ産」となります。

トライバルラグの主要産地(部族)

トライバルラグの製作工程

  1. 毛刈:羊の毛を刈り取ります(この作業を「剪毛」とも言いますが、6と区別するため弊社では「毛刈」を用いています)。
  2. 撚糸:羊毛を紡錘※で撚って毛糸にします。
  3. 染色:毛糸を染めます。
  4. 整経:水平型織機に縦糸を張ります。
  5. 製織:縦糸に横糸とパイル糸とを絡めて絨毯を織ってゆきます。
  6. 剪毛:織りあがった絨毯を織機から外してパイルを刈り揃えます。
  7. 洗浄:剪毛時に付着した糸屑を水辺で洗い流します。
  8. 乾燥:洗い終わった絨毯を天日で乾燥させると完成です。

※紡錘(スピンドル):回転させながら糸を紡ぎ巻き取る道具で、十字に羽根が付いたタイプとはずみ車の付いたタイプとがあります。

織り方の種類

絨毯(パイル織)

トライバルラグとは広義には部族民が製作する敷物全般を言い、パイル織の絨毯にキリム、ソマック、ジャジム等の綴織を加えた総称として用いられますが、狭義には絨毯のみを指します。
絨毯は縦糸、横糸、パイル糸の三つで構成されることが、綴織の敷物と大きく違うところです。

キリム

縦糸と横糸だけで構成される綴織の一種で、平織、スリット織、繋織、重ね繋織、曲線織等、いくつかの織り方があります。
キリムはペルシャ語のゲリーム、すなわち「粗い織布」に由来すると言われ、その単純な構造から絨毯よりも長い歴史を持つとも言われますが定かではありません。
イランではクルドやカシュガイがこれを製作しています。

ソマック

縦糸と横糸とを交互に重ね合わせた平織の地に、横方向に柄糸を絡ませて文様を作ってゆく織り方。
絡ませる向きの違いにより「一方絡み」と「二方絡み」の二つがあります。
柄糸は縦糸二本毎に絡ませるため、しっかりとした丈夫な作りになるのが特徴。
シャーサバンやアフシャルが製作しています。

ジャジム

平織の地に柄糸を組み込んでゆく織り方。
柄糸は縦糸に絡ませるため、刺繍のような立体感が出ます。
柄糸は製織の過程で織り込まれるので刺繍とは異なります。
トルクメンやバルーチが製作しています。

用途による分類

ガリ

もとはテント内に敷かれる絨毯で、ドザール(約140×約210)からキャレギ(約200cm×約300cm)のサイズ。
部族民の絨毯としてはもっとも大きなものですが、テントの大きさに合わせて製作されるため、サイズにばらつきがあります。
特別な機会に使用される、いわば「ハレ」の敷物で、カシュガイやルリが製作する絨毯については、普段使いのギャッベと区別されます。
部族民の財産ともなるメインラグはかつて嫁入り道具として製作されたほか、バザールで換金されることもありました。
メインラグ。

ギャッベ(ガッベ)

カシュガイやルリが製作する普段使いに用いられる絨毯のこと。
ギャッベとは本来「ゴミ」や「クズ」に近いニュアンスで用いられてきた呼称で、メインラグのように資産としての意味を持つものではありませんでした。
いわば消耗品として製作されたものであり、それゆえアンティークやセミアンティークのギャッベはほとんど現存していません。
現代のギャッベは伝統的なそれとはまったく異なり、最近になってから現代人の趣向に合わせて作り変えられたもの。
正統派ギャッベは「ナチュラル・ギャッベ」「カラード・ギャッベ」の二つに大別されます。

ナマーズリク

礼拝に用いる絨毯です。
イランでは「ナマーズリク」あるいは「アーヤトリク」とよばれ、ミフラブ文様を織り出したものが一般的。
ザロチャラケ(約80cm×約120cm)からザロニム(約100cm×約150cm)のサイズですが、小さな子供用のポシュティ(約60cm×約90cm)サイズのものもあります。
トルクメンは礼拝用としてだけでなく、葬儀用として死者を墓に運ぶ際にも用いていました。
プレイヤーラグ。

エンシ

トルクメンがユルタ(トルコ・モンゴル系部族が用いる被覆型テント)のドア代わりにする絨毯。
ユルタの出入口の外側から吊るされ、それを巻きあげて使用します。
フィールドは十字型に四分割されており、上部にはミフラブ(壁龕)が配されているものが多いことから、礼拝用としても使われると言われてきました。
しかし現実にはそうした使用例はほとんどなく、単に魔除けの意味のようです。
ザロニム(約100cm×約150cm)からハフトチャラク(約120cm×約180cm)のサイズが一般的。
ハッチカバー。

カプヌク

トルクメンがユルタの装飾として使用するもの。
カプリックとも呼ばれ、出入口の内側から吊るされます。
コの字の形状で、飾り紐が取り付けられています。

ジュバル

トルクメンがユルタの横フレームにかけて使用する大きな袋のこと。
トルクメンが製作する袋類の中ではもっとも大きく、ペアで製作されるのが通常です。
ジュバルには寝具、衣類、その他日用品等を収納していました。
背面はキリム状になっています。

トルバ

トルクメンが使用する袋の一つで、ジュバル同様ユルタの横フレームにかけて使用されます。
ジュバルとほぼ同じ幅ですが、より浅いのが特徴。
作りもジュバルと同じです。

カプ

トルクメンの女性が使用する小型の袋。
トルバよりも狭い幅で作られ、肩掛け用の紐が付いています。
鏡を仕舞うためのものはアニアカプと呼ばれます。

アスマリク

トルクメンの花嫁が乗る駱駝を飾るためのもの。
アスマリクは「吊り下げるもの」の意で、名の如く駱駝の左右の側面に吊り下げて使用されます。
そのためペアで製作されますが、ジュバルのように袋状にはなっていません。
五角形が一般的です。

ホルジン

馬や驢馬、駱駝等の背に掛けて使用する袋。
俗に言う「鞍袋」(サドルバッグ)で、ペアの袋を向かい合わせた形状になっています。
家畜の種類によってさまざまなサイズがありますが、形状はすべて同じ。
ホルジンをいつの頃、どの部族が考案したかは不明ですが、イランに居住するすべての部族がこれを用いてきました。
絨毯だけでなくキリムやソマックを表面に用いたものもあり、最近ではバイクの荷台に使用する例も見られます。

ナマクダン

岩塩を保存する袋です。
凸型のユニークな形状が特徴ですが、湿気を防ぐためのもの。
手を入れる開口部を最小限にしています。

ダラクバシュ

トルクメンが緯打具(ダフティーン)の金属部分に被せる袋。
ドクメダラクとも言います。
緯打具は絨毯を製作する際にパイルと横糸を固定させるために用いる道具で、櫛状になった金属部分を保護するためのものです。

ウクバシュ

トルクメンがユルタを収納する際、束ねた支柱の先端部に被せる袋。
先端と側面を縫い合わせ、筒状にして使用します。

マフラシュ

いわゆる寝具袋で、カシュガイやシャーサバン、トルクメンなどが使用しています。
横長の形状で、キリムとパイル織りもしくはソマックを組み合わせて製作。
衣装袋としても用いられます。

イグサリク

トルクメンが使用する紡錘を収納するための袋。
紡錘とは糸を紡ぐための道具で、スピンドルとも言われます。
心棒をクルクルと回転させることにより撚りをかけてゆきます。

織機

水平型織機

水平型移動式
水平型移動式

遊牧民・半遊牧民が使用する原始的な織機で、上下のビーム(梁)をそれぞれ地面に打ち込んだ2本の杭で固定しただけの単純な構造。
縦糸を上下に振り分ける綜絖(そうこう、あるいは中筒)は、三角錐に括り付けるか2本のY字で支えるかした棒に固定します。
杭を抜けば携帯でき、一時間ほどで組立あるいは分解が可能なため、移動生活に向いています。

水平型固定式
水平型固定式

主に部族出身の定住民が使用している織機で、竪形固定式を水平型にした造りです。
サイズに限界がある移動式とは異なり、大きな絨毯を製作することも可能。
移動式は木製ですが、固定式には金属製のものもあります。

文様

花瓶文様

花瓶文様

花瓶はペルシャ語で「ゴルダニ」。
水を湛えた花瓶から花々が湧き出す姿は、砂漠の民であるイラン人たちにとって豊かさの象徴であり続けてきました。
有名な花瓶文様絨毯に見られるように、サファヴィー朝期には既にこの文様の絨毯が製作されており、ペルシャ絨毯の文様としては長い歴史を持つものと考えられます。
フィールドやメダリオン・コーナーの装飾として用いられるほか、ミフラブ文様と組み合わせた「ミフラブ・ゴルダニ」や、花瓶文様を連続させた「ジリ・スルタニ」等、様々な使用例があります。
ジリ・スルタニはカジャール朝期のイスファハン総督であったジリ・スルタンの名に由来したものと言われます。

ギュル文様

ギュル文様

ギュルはトルクメンの部族の紋章。
ペルシャ語で花あるいは薔薇を意味する「ゴル」に由来するとも言われますが、定かではありません。
かつてトルクメンには20以上の部族があったとされますが、たび重なる抗争や併合の末、今日ではその半数以下に減少しました。
とはいえギュルには様々な派生形が存在するため、主なものだけでも40近くの種類が確認されています。
フィールド一面に大小のギュルが連続的に配されるのが通常で、15世紀の細密画には既にこの様式の絨毯が描かれていることから、古くから用いられてきた文様であることがわかります。
部族の象徴として尊重されてきたギュルですが、トルクメン絨毯が「商品」として流通するようになった19世紀以降そのアイデンティティは薄れ、部族に関係なく売れるデザインのギュルを用いた絨毯が製作されるようになりました。

ゴル・ファランギ文様

ゴル・ファランギ文様

ゴルは「花」、ファラングは「ヨーロッパ」で、ゴル・ファランギは「ヨーロッパの花」の意です。
19世紀後半にフランスのオービュッソンやサボネイルで製作されたカーペットのデザインを模したもので、写実的な花文様を束ねたデザイン。
19世紀末から20世紀初頭にかけて製作されたセネ産やビジャー産に見られるほか、アメリカン・サルークにもこのデザインが採用されています。
いまでは主役となることはあまりなく、デザインに華やかさを演出するアクセントととして用いられることが多いようです。

スカラベ文様

スカラベ文様

スカラベは甲虫のフンコロガシのこと。
フンコロガシが動物の糞で作る球体が太陽を連想させることから、古代エジプト人はこの虫を太陽神ケペリの化身として、また復活の象徴として崇拝し、これを形どって護符としていました。
カシュガイが製作する絨毯にスカラベを連想させる文様が見られ、話の面白さもあってか、それに関連づけて語られることが多いのですが、実はまったく関係ないことがわかっています。
とは言え、この文様が何に由来するものかについては甚だ曖昧で、羊の角だの蠍だの言われるものの、決定打となるものはありません。
カシュガイに隣接するハムセが製作する絨毯にもこの文様を用いたものがあります。 。

ストライプ文様

ストライプ文様

もとはカシュガイのデザインで、イランでは「モハラマト」と呼ばれます。
カシュガイのほか、ハムセやアフシャルが製作した絨毯にも見ることができます。

動物文様

動物文様

紀元前5世紀頃に製作されたと推定される「パジリク絨毯」にはトナカイに似た鹿の姿が織り出されており、絨毯の文様として長い歴史を持つものと考えられます。
サファヴィー朝期に製作された絨毯には、おそらく宮廷画家が描いた下絵に基づいたであろう躍動感あふれる動物がフィールドを飾っていて、当時からすでに人気のモチーフであったことがわかります。
よく見かけるのはライオンや豹、鹿や兎などですが、13世紀のモンゴルの侵攻により伝えられた龍や麒麟など、中国の想像上の動物を織り出したものもあります。

鳥文様

鳥文様

鳥はペルシャ語で「パランデ」。
『コーラン』にはソロモンがしたためた来訪を求める手紙を、戴勝(やつがしら)がシバ(現在のイエメン)のビルキス女王のもとへ届けた記述があり、古来イスラム世界では鳥はよい知らせを運んでくれる存在として愛されてきました。
イランでは現在も小鳥を飼うことは紳士淑女の嗜みとされています。

ハシュト・ゴル文様

ハシュト・ゴル文様

古いセネ絨毯に見られるデザインで、八つのペイズリーを花状に並べたもの。
オールオーバーとして用いられることがほとんどです。

ペイズリー文様

ペイズリー文様

ペイズリー文様の起源はイランにあると言われ、ゾロアスター教徒が拝む炎を意匠化したとする説、風に揺れる糸杉に由来するとした説等、様々な説があります。
イランからインドに伝わり、やがてカシミール地方で産出されるショールのデザインとして定着しました。
その後、19世紀に英国スコットランドのペイズリー市でこの文様の織物の製作が盛んになったことから、この名で呼ばれるようになったと言われます。
イランでは「ボテ」と呼ばれるペイズリー文様は、ケルマン地方のショールの文様としてカシミールから逆輸入され、ショール産業の衰退に伴い絨毯のデザインに採用されるようになりました。
カシュガイ、ハムセ、アフシャル、クルドらが個性豊かなペイズリー文様の絨毯を製作しています。

ヘバトゥルー文様

ヘバトゥルー文様

ヘバトゥルーはカシュガイの支族名に由来するものと言われます。
六角形のフィールド上に菱形のメダリオン、コーナーにはハシュト・ゴルやスカラベ等の文様を配したデザインで、カシュガイやハムセが製作する絨毯のデザインとして有名です。

ヘラティ文様

ヘラティ文様

ヘラティはロゼットを囲った菱形の四方をパルメットとアカンサスの葉で飾った文様で、イランではアカンサスの葉の形状が魚に似ていることからそれを指す「マヒ」と呼ばれます。
ヘラティ文様の起源についてはアナトリア高原やクルディスタンとする説もあるものの、一般にはホラサン地方と考えられており、ヘラティの名はかつてホラサン地方の中心都市であったヘラート(現在はアフガニスタン領)に由来します。
18世紀のナーディル・シャーの遠征によりイラン各地に拡がったとされています。
カシュガイやバルーチの絨毯に見られます。

ミナ・ハニ文様

ミナ・ハニ文様

ロゼットを菱形で囲い四方にロゼットとパルメットを配した文様。
ヘラティ文様に似ていますがアカンサスの葉はないのが特徴。ミナ・ハニの名はミナ・ハーンに由来するものと言われます。
ベラミンで産出される絨毯の代表的文様として知られていますが、バルーチ等の部族民もこの文様を用いています。

ミフラブ文様

ミフラブ文様

ミフラブはモスクの壁龕のこと。
イスラム教徒にとっては「天国への入口」を意味します。
もとは礼拝に用いる簡素なデザインでしたが、のちに華美な装飾が施されるようになりました。
花瓶文様と組み合わせた「ミフラブ・ゴルダニ」が多く見られますが、とりわけ柱を配した玄関ポーチ風のデザインは「サルダル・ガーヒ」と呼称されます。

メムリンク文様

メムリンク文様

クルドやルリ、カシュガイの絨毯に見られる文様で、階段状の菱形の周りを直角にカーブした鉤状の飾りで囲ったもの。
「メムリンクのギュル」とも呼ばれます。
(ハンス)メムリンクは15世紀後半に活躍したベルギーの画家で、初期フランドル派を代表する画家の一人。
『聖ヤコブと聖ドミニコの間にいる聖母マリアとその子』(1488〜1490年作)にこの文様を織り出した、おそらくアルメニア産であろう絨毯が描かれていることから、彼の名で呼ばれています。

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