ペルシャ絨毯に使用される天然染料|ペルシャ絨毯専門店フルーリア東京

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天然染料の種類

天然染料の種類

天然染料は三つの種類に分類されます。

一つめは媒染剤を使用せずとも繊維に色素を固着させることができる「直接染料」。
タンニンを豊富に含む植物が多く、
スマックやナラのように、そのほとんどの部位を染色に用いることができるものもあります。

二つめは媒染剤は必要としないものの、染料の色素はそのままでは水に溶けないので、
醗酵などの処理を施さねばならない「建染染料」。
建染染料は化学反応を起こさず、色素の多くが繊維の表面に残存します。
染色後すぐはほとんど着色していないように見えますが、空気中の酸素に晒すことで発色します。
インドアイやホソバタイセイなどがこの種類。

三つめは媒染剤なしでは完全に発色させられず、色素を繊維に固着することができない「媒染染料」。
多くの天然染料はこの種類に分類されます。

媒染剤

媒染剤

媒染剤とは染料を繊維に固着させる接着剤としての役割を果たす薬剤のこと。
代表的なものとしてはアルミ、鉄、銅などの金属化合物があり、
媒染はこれらの水溶液に繊維を浸すことによって行います。

多くの植物染料は媒染剤なしでも繊維を染めることができますが、
媒染することでより色を深め、日光堅牢度や洗濯堅牢度を高めることが可能になります。

媒染剤はまた染色の工程における発色にも作用するので、
同一繊維を同一染液で染めても、媒染剤が違えば別の色を染めることができます。

なお、媒染には染色の前に行う「先媒染」、
染色と同時に行う「同時媒染」、染色の後に行う「後媒染」の三つがありますが、
このうち先媒染はほとんどの染料を繊維に固着させ堅牢度を高めるといわれます。

 

アルミ(硫酸アルミニウム、ミョウバン、ハクバン)

アルミアルミ

硫酸アルミニウムはアルミニウムの硫酸塩で、一般的に言われるミョウバン(明礬)は硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(生ミョウバン)、硫酸アルミニウムアンモニウム(焼ミョウバン)を総称したもの。
いずれも無色透明の正八面体結晶で水によく溶け、古代ギリシャの時代から媒染剤としてだけでなく、医薬品や顔料、皮なめし剤、水の清澄剤等々、広い用途に使用されてきました。
毛や絹などの動物繊維にもっとも使われる媒染剤で、日光・洗濯堅牢度を高め明るく澄んだ色を生み出してくれます。

 

鉄(硫酸鉄、リョクバン)

鉄鉄

硫酸鉄は鉄の硫酸塩で、リョクバン(緑礬)ともよばれます。
媒染剤としてすべての繊維に使用でき、色を濃くする、あるいはくすませる効果があります。
併せて日光堅牢度と洗濯堅牢度とを高めますが、毛や絹などの動物繊維に使用するとこれを傷め、やがて劣化させるという欠点を持っています。
よって使用する場合は少量にとどめておかなければなりません。
今日、鉄は媒染剤としてよりも修整剤として使われることが多くなっています。

 

銅(硫酸銅、タンバン)

銅銅

硫酸銅は銅の硫酸塩で、タンバン(胆礬)ともよばれます。
媒染剤として繊維を選ばずに使え、日光堅牢度と洗濯堅牢度を高めてくれますが、硫酸銅と希釈した酢酸を使用すると繊維への吸収度がより高まります。
ただし毒性があるので、取り扱いには注意が必要。
染めあがりは緑色か茶色がかった色になる傾向があります。

 

植物性の媒染剤

植物性の媒染剤植物性の媒染剤

植物の中ににはダイオウやハゼノキの葉、モッショクシ等、媒染剤として利用できるものがあります。
そのうち毛や絹などの動物繊維に有効なのはダイオウの葉で、それに含まれる蓚酸(シュウサン)は黄色を黄緑色に、赤色を橙色に仕上げてくれます。
ただし蓚酸には毒性があるので、染色の際には煮沸で発する蒸気を吸入せぬよう、蓋をするなど注意が必要。
ハゼノキの葉やモッショクシはタンニンを多く含んでおり、植物繊維の媒染に使用されます。

赤色の天然染料

赤色の天然染料

赤色の染料を採取できる植物は少なく、
アカネやベニバナはそれを可能にするものとして古くより珍重されています。
とりわけアカネは堅牢度が高く栽培も容易であるため、世界中で広く用いられてきました。

中世のヨーロッパで「ターキッシュ・レッド」として人気を博した赤色があります。
これは20以上の複雑な工程を経て、数か月をかけて生成されたといわれるもの。
動物の糞や酸化した油、ソーダ灰、タンニン、ミョウバン、牡牛の血などの成分が含まれていたと伝えられますが、
そのベースとなったのもアカネでした。

天然染料のほとんどは植物に由来したものです。
しかし赤色の染料の中には昆虫を素材としたものもあります。
カイガラムシのいくつかの種は、ややグロテスクな見た目とは裏腹に美しい赤色を供してくれます。

 

アカネ(セイヨウアカネ、ムツバアカネ、マダー)

アカネアカネ

アカネ(茜)はリンドウ目アカネ科アカネ属に属する多年草。
蔓状の小さな棘のある茎を持ち、托葉を含めた6枚の葉があることからムツバアカネともよばれます。
アカネは「赤根」に由来するがごとく、赤い根にはアリザリンやププリン、ルミアジンといった赤系の色素が含まれており、古代エジプトの時代から染料や顔料として利用されてきました。
地中海東部から西アジアにかけての地域が原産地といわれ、イランでは全土に分布していますが、とりわけ砂漠地帯で育ったものは高品質とされます。
夏から秋にかけて薄黄色の小さな花が咲いた後、秋の終わりに根を掘り出して乾燥させ、すり潰して染料に。
媒染なしで橙色を染めますが、アルミ媒染により黄味を帯びた深い赤色を染めます。
イラン中西部のアラク地方では媒染剤にヨーグルト(ドゥーク)を使用することがあり、その柔らかな色調は「ドゥーキ・レッド」と俗称されています。
胡桃の皮やインディゴなどと混合することで、茶や紫、緑などを出すこともできます。

 

ベニバナ(スエツムハナ、クレノアイ、クレナイ、サフラワー)

ベニバナベニバナ

ベニバナ(紅花)はキキョウ目キク科ベニバナ属に属する一年草。
アザミに似ており、50センチから150センチの高さに成長します。
人類が栽培したもっとも古い植物の一つとされ、紀元前2500年のエジプトのミイラの着衣から紅花の色素が発見されています。
ベニバナの原産地については諸説あり、古くから栽培されていたインドやエジプトとする説、アザミ類の野生が多いアフリカ・ナイル川流域(エチオピアなど)とする説、ベニバナ近縁の野生種が多い中近東付近(アフガニスタンなど)とする説があります。
ちなみにベニバナの英語名であるサフラワーはアラビア語のウスファルに、仏語名のカルタム、伊語名のカルタモはアラビア語で「染める」を意味するカルトムあるいはヘブライ語のカルタミに由来するものといわれます。
8月から10月にかけてアザミに似た球状の花を咲かせます。
花は黄色から赤色へと変化してゆきますが、植物染料としては珍しく、染料にはこの花を乾燥させたものを用います。
ベニバナの花にはサフロールイエローとカルサミンという二つの色素が含まれています。
黄色の色素であるサフロールイエローは常温の水に浸すことによって容易に抽出できますが、赤色の色素であるカルサミンには水に溶けにくい性質があります。
そのため繊維に吸収されにくく退色しやすため、イランでは一部の地域を除き使用されていません。

 

ケルメスカイガラムシ(ケルメス、カーミン、カーマイン)

ケルメスカイガラムシケルメスカイガラムシ

ケルメスカイガラムシ(ケルメス貝殻虫)はカメムシ目タマカイガラムシ科ケルメス属に属する昆虫。
オークの木に寄生し、樹液を吸収します。
地中海沿岸からイラン西部が原産で、その名は赤色を意味するアラビア語あるいはペルシャ語のゲルメズに由来。
クリムゾンやカーマインの語源になったといいます。
イラン南部の町ケルマンもこれから来たとされますが、ケルマンはかつてケルメスカイガラムシの輸出の拠点でした。
ケルメスカイガラムシはもっとも古い染料の一つとであるといわれています。
古代エジプトやギリシャ、ローマ帝国の時代から染料としてだけでなく薬品としても利用されていました。
雌は赤色の色素であるケルメシン酸を持ち、乾燥させてすり潰した後、水に浸して抽出します。
媒染剤にアルミを鉄を使うと青味を帯びた赤色に、鉄を使用すると紫色に染まります。
19世紀以降はコチニールカイガラムシに取って代わられ、ほとんど使用されなくなりました。

 

コチニールカイガラムシ(エンジムシ、コチニール)

コチニールカイガラムシコチニールカイガラムシ

コチニールカイガラムシ(コチニール貝殻虫)はカメムシ目コチニールカイガラムシ科コチニールカイガラムシ属に属する昆虫。
雄は体長1.5ミリほどで細長い楕円形をしており、大きな羽と一対の長い尾を持っています。
雌は体長3ミリほどで平たい楕円形。
色素を持つのは雌だけで、これを染料として用います。
コチニールカイガラムシは中南米原産で、アメリカ大陸発見以前のアステカ帝国の時代から染料だけでなく、薬や化粧品、「タマル」とよばれる蒸し団子にも使用されていました。
大航海時代以降、この地を支配したスペインにより金や銀とともに主要な交易品として世界に広められたといいます。
また当時スペインで製作されていた絨毯にも用いられ、その鮮やかな赤色は「スパニッシュ・レッド」として称えられました。
色素の含有量はケルメスカイガラムシの10倍ほどもあり、その後主流となりました。
今日、生産量の8割をペルーが占めています。
生後90日ほどが経った卵を産む前二倍ほどに膨れ上がったところを採取し、熱湯や蒸し器、オーブンなどに入れて殺虫した後に乾燥させすり潰します。
それを水やエタノールの浸ことによりカルミン酸とよばれる色素が抽出できますが、1キロの染料を得るのに約10万匹が必要とされます。
青味がかった赤色が特徴で、イランでは東部の絨毯によく見られます。
媒染剤にはアルミが使用されるのが一般的です。

 

ラックカイガラムシ(ラックムシ、ラックインセクト)

ラックカイガラムシラックカイガラムシ

ラックカイガラムシ(ラック貝殻虫)はカメムシ目ラックカイガラムシ科ラックカイガラムシ属に属する昆虫。
インド、東南アジア原産で、マメ科やクワ科、ムクロジ科など多種の樹木に寄生します。
英国統治下のインドでは、東インド会社の主要な交易品となっていました。
枝に多くが群集し、自らを保護するため虫体被覆物(樹脂状の分泌物)を出して体を覆います。
これが一体となって枝を包んで棒状となりますが、これをスティックラックとよびます。
スティックラックにはラッカイン酸という色素が含まれており、繁殖期に新しい巣を作り始めたら古い巣を収穫し、すり潰し昆虫の残骸や木のクズを取り除いたものを水か湯に通します。
ラックの名は「10万」をあらわすサンスクリット語に由来しますが、これは多くが群集する様、あるいは染料を得るために多くが必要とされることを表したものと考えられています。
コチニールカイガラムシよりもやや黄味がかった赤になります。

青色の天然染料

青色の天然染料

赤色に同じく青色の天然染料も抽出できる植物が少なく、
それゆえアイやタイセイは貴重な素材として扱われてきました。

アイとタイセイは同じ青色の色素を持っていますが、
アイはタイセイに比べると色素の含有量が圧倒的に高いため、16世紀にはタイセイのシェアを奪いました。

 

アイ(インドアイ、キアイ、タイワンコマツナギ、インディゴツリー)

アイアイ

マメ目マメ科コマツナギ属に属する木本の植物。
インドやイラン南部などで栽培されており、いくつかの種類がありますが、とりわけインド南部原産のタイワンコマツナギが有名です。
わが国でよく知られる草本のタデアイ(蓼藍)とは異なる小低木で、キアイ(木藍)ともよばれるもの。
高温多湿なデルタ地帯に生育し、1メートルから2メートルの高さに成長します。
葉は9枚から13枚の奇数羽状複葉で、秋の終わりに小さなピンク色の花を咲かせます。
インダス文明の遺跡から藍染に用いたとみられる染色槽跡が発見されており、またエジプトのテーベ遺跡から出土したミイラの巻布にも藍で染められた布が使用されていることから、紀元前2000年以前より染料として利用されていたようです。
アラブ商人により紀元前1000年代には中近東一帯から地中海沿岸へともたらされたといわれており、ローマ人はインディゴを薬品、化粧品にも用いていました。
インディカンという青色色素を豊富に含んでおり、葉を発酵させて沈殿法により色素を抽出しますが、空気に晒すことで酸化し、美しい青色となります。
非水溶性で繊維が色素を吸収しにくく、そのため退色しやすいという欠点がありますが、それを味として楽しむ風潮もあるようです。
インドアイは他のアイに比べると色素の純度が圧倒的に高いため、ヨーロッパでは600年頃から藍染の染料として用いられていたタイセイのシェアを奪いました。

 

タイセイ(ホソバタイセイ、ウォード)

タイセイタイセイ

タイセイ(大青)はアブラナ目アブラナ科タイセイ属の二年草。
南ヨーロッパ、西南アジア原産で、新石器時代より染料として用いられていたと考えられています。
葉は細く茎は柔らかい毛で覆われており、夏から秋にかけて黄色い花を咲かせます。
葉や茎にはインドアイと同じインディカンという色素が含まれており、これを染料として使用します。
色素の含有率がインドアイに劣るため、16世紀以降はインドアイに取って代わられました。
青色の染料としては生の葉を使用するのが一般的ですが、一年目の真夏から秋の半ばにかけて採取した葉は乾燥させて保存することも可能です。

紫色の天然染料

紫色の天然染料

紫色を染める染料にはタチアオイがありますが、タチアオイは耐光性が低く退色しやすいという欠点があります。

アッキガイ科の巻貝から得られる紫色は、
ギリシャ・ローマの時代から帝王紫として珍重されてきました。
パープル腺を取り出し、濃い塩の溶液に何日も浸した染液で染めあげるのですが、
現在この染色方はメキシコのオハカ地方にのみ残るといいます。

今日、紫色は赤色の染料と青色の染料との二重染色によって染められるのが一般的です。

 

アオイ(タチアオイ、マロウ)

アオイアオイ

アオイ目アオイ科ビロードアオイ属の多年草。
地中海地方原産で、主に観賞用として栽培されています。
イラク北部のシャニダールの洞窟の5万年前のネアンデルタール人の埋葬骨といっしょに種子が発見されており、人類が利用した最古の花の一つといわれています。
約2メートルの高さにまで成長し、葉は心臓形で浅い切れ込みがあり、初夏に赤色や紫色、白色等の大きな花を咲かせます。
色の濃い花は生でも乾燥させても染料として使用可能。
媒染が必要で、アルミ媒染により紫色を染めます。
繊維を染液に一晩浸け置きすると加熱なしでも染色できますが、加熱、非加熱を問わず植物繊維では淡い色にしか染まりません。

黄色の天然染料

黄色の天然染料

黄色系の染料の素材となる植物は自然界に多数存在しており、入手はきわめて容易です。

素材の違いだけでなく、媒染の有無や媒染剤の種類によっても染めあがりの色は違ってくるので、
その幅は無限大といってよいでしょう。

ただし黄色はもっとも褪色しやすく、
そのためかペルシャ絨毯には黄色をベースにした作品はあまり存在しません。

 

ウコン(ウッキン、ターメリック)

ウコンウコン

ウコン(鬱金)はショウガ目ショウガ科ウコン属の多年草。
インド原産で、東南アジアを中心に栽培されています。
葉は細長い楕円形で長い柄があり、高さ40センチから50センチほどに成長。
秋の初めに白い花穂をつけます。
地下に太い根茎があり、この根茎の皮をむき数時間煮て乾燥させ粉末状にしたものをターメリックとよびます。
ターメリックはクルクミンという黄色の色素を持っており、カレー粉の原料の一つとして有名。
「インドのサフラン」ともよばれ、香辛料としてだけでなく、古くからテキスタイルの彩色や捺染に用いられてきました。
そのためわが国ではキゾメグサともよばれます。
媒染は不要で黄色を染めることができますが、アルミ媒染により橙色に。
インディゴと併用することにより緑色に染めることができます。
媒染の有無にかかわらず、日光堅牢度が低く石鹸をはじめとするアルカリに弱く、退色しやすいという欠点があります。

 

カモミール(コウヤカミツレ、ダイヤーズカモミール、ダイヤーズカモマイル)

カモミールカモミール

キク目キク科カミツレモドキ属の多年草。
地中海沿岸から西アジア原産で、乾燥地帯の荒地に自生しています。
コウヤカミツレは英名をダイヤーズカモミールといいますが、和名のコウヤ(紺屋)、英名のダイヤーズともに「染物屋」を意味します。
高さ20センチから80センチほどで茎は数本に分岐し、葉は羽状に切れ込み互生。
5月から9月にかけて白色から黄色のデイジーに似た花を咲かせます。
頭花は媒染なしで薄黄色を染めますが、退色しやすいので媒染を施すのが普通。
アルミ媒染により鮮やかな美しい黄色に染まります。
茎や葉も染料として利用でき、媒染なしで淡緑色を染めますが、やはり退色しやすいため媒染するのが賢明。
アルミ媒染により黄緑色を染めます。

 

カラカシ(カリロク、ミロバラン)

カラカシカラカシ

カラカシ(唐樫)はフトモモ目シクンシ科モモタナマ属の落葉樹。
インド、東南アジアが原産で、カリロク(訶梨勒)ともよばれます。
高さは20メートルから30メートルに達し、葉はほぼ対生の楕円形。
5月から8月にかけて白黄色の小さな花を咲かせ、10月から1月にかけて球形の実をつけます。
アーモンドに似た種子はエラグ酸を多く含んでおり、これを乾燥させ砕いたものを染料として使用します。
媒染剤にアルミを使用するとで美しい黄色に染まり、インドでは僧衣の木欄色の染めに用いられるほか、更紗の下染めにも使われてきました。

 

ケッパー(セイヨウフウチョウボク、トゲフウチョウボク、ケイパー、ケーパー、カプリエ)

ケッパーケッパー

ケッパーはフウチョウボク目、フウチョウボク科、フウチョウボク属の木本の植物。
地中海沿岸から中央アジア原産で、イランではイラム州、ファース州、ケルマンシャー州、コフギールーイェ・ブーイェル・アフマド州、ケルマン州、ヤズド州など、南部を中心とする標高2500メートル以上の地域に自生しています。
高さ1メートルほどの半蔓性の低木で、葉は丸みを帯びた卵形。
葉柄に2本の棘を持ち、春から夏にかけて白い大輪の花を咲かせます。
紫色の雄蕊が束になりとても美しいのですが、花の寿命は一日です。
この花の蕾をピクルスにしたものがカープルで、アンチョビの油漬けやスモークサーモンの付け合わせに使われるほか、ホワイトソースやマヨネーズの飾り付けなどにも用いられます。
黄色の色素であるクェルセチンを多く含んでおり、アルミ媒染により青味がかった黄色を染めることができます。

 

ザクロ(パメグラネット)

ザクロザクロ

ザクロ(柘榴)はフトモモ目ミソハギ科ザクロ属の落葉樹。
原産地はイランとされ、ザクロの名はイラン西部のザクロス山脈に由来するともいわれます。
高さ5メートルから6メートルほどに成長し、密集した枝を持つのが特徴。
夏に枝先に赤色の花を付け、秋の初めに実が熟しはじめます。
ザクロの実は生のままでも乾燥させても染料として使用できます。
乾燥させる場合は外皮もしくは実全体を暖かくて湿気のない場所に置いて乾かします。
媒染は不要ですが、アルミ媒染でより鮮やかな色に染めることが可能です。

 

サフラン(サフランクロッカス)

サフランサフラン

サフランはキジカクシ目アヤメ科クロッカス属に属する多年草。
園芸用のクロッカスと同じ仲間の球根植物で、丈は10センチから15センチほど。
原産地は地中海沿岸からイラン北部とされています。
サフランの語源は古代ペルシャ語のザルパランに由来したものと考えられていますが、ザルは金、パーは花を意味し、「金と同じくらい価値のある花」を意味するものといわれます。
イランでは先史時代の洞窟の壁画にサフラン由来の顔料が用いられており、数千年にも及ぶ歴史があるとされています。
キュロス大王はこれを水に溶かして入浴したと伝えられます。
アケメネス朝のダリウス1世(前550年頃~前486年)の時代にはすでに香辛料や薬品、染料として使用されていたという記録があり、やがてアケメネス朝によりサフランはインド北部のカシミール地方に持ち込まれ、のちにインド亜大陸に広がりました。
インドでは仏陀の死後、僧侶たちは僧服の染色にこれを用いたといわれています。
アレキサンダー大王がアケメネス朝を滅ぼすとサフランはギリシャに持ち込まれますが、ギリシャ神話にはサフランのベッドで眠っているゼウスの物語があり、ギリシャ人はサフランを「神々と王の香辛料」と呼んでいたとあります。
9世紀、アラブ人によりスペインが占領されるとサフランはスペインに運ばれ、やがてヨーロッパに広まりました。
「秋咲きクロッカス」ともよばれるごとく10月下旬から11月中旬にかけてに紫色の花を咲かせますが、この花の雌蕊にはクロシンという色素が含まれており、1花につき3本ある雌蕊を手で摘み取り乾燥させたものを染料や香辛料として使用します。
10グラムのサフランを得るには1500本以上の花が必要とされ、そのため貴重なかつ高価なものとして取引されてきました。
イランでは年間300トンのサフランが収穫されており世界の生産量の90%以上を占めていますが、とりわけイラン東部のホラサン地方ではもっとも主要な農作物となっています。
赤色と黄色の割合により、ネギン、サルゴル、プッシャル、ブンチ、コンゲという等級に分類されます。
雌蕊は赤色ですが、これを水に浸すことによって黄色の色素を抽出することができます。

 

ダイオウ(ショクヨウダイオウ、ルバーブ)

ダイオウダイオウ

ダイオウ(大黄)はタデ目タデ科ダイオウ属の多年草。
南シベリア原産で、欧米では野菜として栽培されており、わが国ではショクヨウダイオウ(食用大黄)ともよばれます。
茎は中空で高さ1メートルから2メートルに成長し、地中には大きな株を持ちます。
葉は根生し50センチほどにまで達する大きな心臓形。
夏の初めに緑白色の小さな花を円錐花序につけます。
ルバーブの名は古代ギリシャ語に由来するといわれ、古代ギリシャの時代から栽培されてきました。
ヒマラヤ山脈一帯では染料として珍重されていて、黄色の染料として欠かせないものになっています。
染料となるのは葉、根の部位。
葉は生の状態で使用するのが理想的ですが、乾燥させても使えます。
ただし、シュウ酸などの有毒物質を含んでいるので注意が必要です。
媒染は不要で黄褐色をそめますが、アルミ媒染により澄んだ黄色を染めることができます。
根は毒性がないので安心して使えます。
こちらも媒染は不要で深みのある黄色を染めますが、アルミ媒染によりサーモンピンクを染めることができます。
ダイオウは媒染剤として使用することも可能。

 

タマネギ(オニオン)

タマネギタマネギ

タマネギ(玉葱)はキジカクシ目ヒガンバナ科ネギ属の二年草。
原産地については定かでありませんが、地中海沿岸から西アジア、中央アジアとされ、中近東やインドでは紀元前数千年の昔から食用として栽培されていたといわれます。
ギリシャ、ローマ帝国を経て15世紀から16世紀にかけてヨーロッパに広がり、日本へは18世紀に伝わりました。
茎や葉は直立した中空の円筒状で高さ50センチほど。
秋に白または紫色の小さな花が集まって球状のいわゆるネギ坊主を茎の先端につけます。
地下の鱗茎(りんけい)は球形または偏球形で、春頃から肥大し始め夏頃に成熟。
これを食用とします。
タマネギは鱗茎の辛味度により、辛タマネギと甘タマネギに大別されますが、さらに鱗茎外皮が黄色い黄タマネギ、赤紫色の赤タマネギ、白色の白タマネギに分類されます。
鱗茎の外皮にはケルセチンという色素が含まれていて、これを抽出し染料として使用します。
ケルセチンはフラボノイドの一種で、蕎ソバや柑橘類の外皮にも含まれる色素。
冷水にはほとんど溶けないものの熱水にはよく溶けます。
媒染は不要ですが、媒染することにより堅牢度を増し色の幅が広がります。
黄タマネギの外皮はアルミ媒染で黄色・オレンジ。
鉄媒染で茶・モスグリーンに。
赤タマネギの外皮も染料として使えますが、安定した色を染めるのが難しいという欠点があります。

 

ハゼノキ(キハゼ、スマック)

ハゼノキハゼノキ

ハゼニキ(櫨の木)はムクロジ目ウルシ科ウルシ属の落葉樹。
高さ3メートルから4メートルほどの低木で、南ヨーロッパから西アジアに自生しています。
葉は60センチほどに達する羽状複葉。
初夏に毛で覆われた小さな赤い花が密集した円錐花序をつけ、花が散ると房状の深紅の実がなります。
スマックの名は赤を意味するアラム語の「スンマーク」に由来するとされ、古代ローマの時代から実を乾燥させて砕いたものが香辛料として使用されてきました。
加水分解性のガロタンニンを多く含んでおり、根以外は染料として使用できます。
媒染は不要で黄褐色の色を得ることができますが、アルミ媒染すると鮮やかな橙色に染色することができます。

 

ブドウ(ヨーロッパブドウ、グレープツリー、ヴァイン)

ブドウブドウ

ブドウ(葡萄)はクロウメモドキ目ブドウ科ブドウ属の蔓性落葉常緑樹。
原産地はカスピ海沿岸から中央アジアとされ、紀元前4000年以前から栽培が行われていたといいます。
西はエジプトからギリシャを経てヨーロッパへ伝わり、東はインドを経て中国、やがて日本へと伝わりました。
ちなみに日本語の「ブドウ」の語源については古代ギリシャ語の「ボートルス」に由来するとした説、古代ペルシャ語の「ブーダウ」に由来するとした説がありますが(古代ギリシャ語の「ボートルス」に由来するとした説もあります)、イランでは紀元前2000年以前からこれの栽培が行われていたとされ、現在もイラン全土で栽培されています。
とりわけホラサンやカズビン、アゼルバイジャン地方はヨーロッパブドウの主要な産地となっています。
ブドウの葉にはキサントフィルという黄色の色素が含まれており、これを抽出し染料として用います。
媒染剤にはアルミが用いられるのが一般的で、これによりやや赤味がかった黄色が得られます。

 

モクセイソウ(キバナモクセイソウ、ダイヤーズエウェルド、ダイヤーズロケット)

モクセイソウモクセイソウ

モクセイソウ(木犀草)はアブラナ目モクセイソウ科モクセイソウ属の二年草。
ヨーロッパ、中近東原産で、砂質や石灰質で水はけのよい土壌を好みます。
茎は直立し、20センチから60センチほどに成長。
単葉もしくは羽状複葉の葉が互生しており、6月から8月頃にかけて長い穂状花序に小さな淡黄色の花を多数咲かせます。
最古の染料の一つと考えられており、スイスの新石器時代の遺跡からモクセイソウの種が発見されています。
ヘレニズム時代には地中海地域とローマ帝国で栽培されていたと考えられ、ローマ人はこれを使用して、ウェスタの処女(女神ウェスタに仕えた巫女)の僧衣を染色していました。
葉や茎にフラボノイドルテオリンという色素を含み、アルミ媒染で鮮やかな黄色に染めあがります。
アイルランド人はこの黄色を「グレート・イエロー」(偉大なる黄色)とよんでいました。

 

リンゴ(セイヨウリンゴ、アップルツリー)

リンゴリンゴ

リンゴ(林檎)はバラ目バラ科リンゴ属の落葉樹。
西アジアから中央アジア原産とされ、野生種を含めると世界中で7500種以上が確認されています。
イランでは北部を中心に栽培されており、西アゼルバイジャン州とウルミエ行政区では同国で生産されるリンゴの38パーセントが生産されています(2014年現在)。
樹高は約6メートル。
葉は互生する鋸歯のある楕円型で、春に白色の花を咲かせます。
果実とされているものは花床が肥大した偽果で、真の果実は芯の部分です。
染料には葉と樹皮を使います。
葉は生でも乾燥させても使えますが、採取する時期により色に幅があります。
媒染は動物繊維には不要で灰色がかった黄色に染めることができますが、アルミ媒染を施すとより深みのある色に染めあがります。
樹皮も媒染は不要。
淡いピンクを染めますが、アルミ媒染により山吹色を染めます。

緑色の天然染料

緑色の天然染料

自然界は緑色の色素を持つ植物で溢れていますが、そのほとんどには耐光性がなく、すぐに褪色してしまいます。
実は美しい緑色を出すのは容易ではなく、高い技術と費用とが必要になるのです。
緑色をベースとする絨毯が少ないのにはそうした理由があるのでしょう。

また緑色はイスラム教徒にとって神聖な色とされており、
それゆえ一部の礼拝用の絨毯を除くとあまり使用されていません。

ただし補色としては16世紀から使われていて、
現存する最古のペルシャ絨毯といわれる狩猟文様絨毯を見れば明らかです。

緑色を出すには初めに黄色を染色し、次に青色を加える二重染色の技法が一般に採用されています。

 

ヒエンソウ(チドリソウ、ラークスパー)

ヒエンソウヒエンソウ

ヒエンソウ(飛燕草)はキンポウゲ目キンポウゲ科ヒエンソウ属の一年草。
地中海沿岸から西アジア原産で、イランでは多くの地域に自生し、ホラサン地方では栽培も行われています。
ヒエンソウの名の由来は花の形が燕が飛ぶ姿に似ているからで、同じ理由からチドリソウ(千鳥草)ともいわれます。
茎は直立し、1メートル前後に成長。
葉は掌状で、初夏に茎の先端に青色、桃色、白色の総状に連なった小さな花を咲かせます。
青色の花は乾燥しても色が変わらないため、ポプリの材料としても人気。
染料にはこの青色の花を使いますが、水で煮出すことにより緑系の色を得ることができます。
シルクに対しては日光堅牢度、洗濯堅牢度ともに良好ながら、ウールに対してはやや劣ります。

茶色の天然染料

茶色の天然染料

茶色には茶色の羊の毛が使われることもありますが、
一般的にはタンニンを多く含んだ植物の葉や樹皮、果皮が使用されます。
とりわけ樹皮は季節を問わずに採取できるので便利です。

茶色の染料として知られるオークはブナ(椈)、ナラ(楢)、クヌギ(椚)などブナ科の落葉樹の総称ですが、
ブナ科の常緑樹であるカシ(樫)からも同じように染料を得ることができます。

 

オーク(コナラ属の樹木)

オークオーク

オークはブナ目ブナ科コナラ属の落葉樹。
北半球の温帯から熱帯の高地に分布し、イランでは北部の山岳地帯、西部のザクロス山脈を中心にいくつかの種を見ることができます。
高さは10メートル以上に達し、樹皮は灰色がかった茶色。
やや滑らかで、深い畝があります。
葉は長細い楕円形で、縁は鋸葉状。
春に房状の雄花と小さな赤い雌花を咲かせます。
果実はいわゆるドングリで、秋に熟します。
ナラの木はどの部分にもタンニンを含み、樹皮、葉、果実は薄茶色を染めます。
媒染は不要ですが、アルミ媒染でより深い色に染めることができます。

 

クルミ(ウォールナット)

クルミクルミ

クルミ(胡桃)はブナ目クルミ科クルミ属の落葉樹。
中東原産とされ、樹高は5メートルから20メートルにもなる高木です。
葉は先端のとがった羽状複葉で、5月頃に房状の雄花と赤い雌花を咲かせます。
9月から10月にかけて仮果を収穫しますが、その中にある種子を食用とします。
クルミは紀元前7000年頃には既に食用とされていたといわれ、人類が食用とした最古のナッツ類の一つであると考えられています。
葉と実が染料として使えますが、クルミの実で色素を含んでいるのはまだ緑のうちの果皮。
果皮は生でも乾燥させても使えます。
媒染は不要で淡い茶色に染めることができます。

 

タバコ

タバコタバコ

タバコ(煙草)はナス目ナス科タバコ属の多年草。
熱帯アメリカ原産で、紀元前の昔から南米から北米のミシシッピ川流域に至る地域、西インド諸島で栽培されていたとされます。
古代マヤの遺跡には神々が喫煙している様が描かれており、マヤ人たちは喫煙で得られる香気と陶酔からタバコの葉には精霊が宿ると信じ、宗教行事に用いていたといわれます。
その後、タバコは北米からカナダ南部へと広がり、大航海時代以降ヨーロッパ、アジアへと伝えられました。
スペインでは薬草類を「タバコ」とよんでおり、それがタバコの語源。
高さ2メートルほどに成長し、先の尖った大きな卵型の葉が互生します。
夏に茎の先端に小さなラッパ状の花が集まった総状花序をつけます。
染料には葉を乾燥させ醗酵させたものを用います。
媒染は不要で薄茶色を染めますが、媒染することにより深い茶色を得ることができます。

 

チャ(チャノキ、ティープラント)

チャチャ

チャ(茶)はツツジ目ツバキ科ツバキ属の常緑樹。
原産地については諸説あり、ビルマのイラワジ川源流域とする説や下部チベット山系とする説等があります。
北緯45度から南緯30度にかけての温暖な地域において広く栽培されており、その若芽から得られる各種の茶は飲料として親しまれていることは周知のとおりでしょう。
チャノキはアッサム種と中国種とに二分されます。
アッサム種は酸化酵素の活性がとても強く発酵しやすいため、紅茶向き。
インド、スリランカ、インドネシア、アフリカ諸国等で栽培されています。
一方、中国種は酸素酵素の活性が弱く緑茶向きで、中国、日本、トルコ、南米、イラン、インドやスリランカの高地の寒冷地などで栽培されています。
イランでは15世紀末に中国から喫茶の習慣が伝わったといいます。
以降コーヒーに代わる嗜好品として全国に広がり、19世紀末にはインドから持ち帰った苗木をもとにカスピ海沿岸のギーラーン地方やマザンダラーン地方においてチャノキの栽培が始まりました。
インドに自生する野生種のチャノキは8メートルから15メートルの高さにまで成長しますが、栽培種は1メートルから2メートルになるよう刈り込まれます。
葉は先端がとがった楕円形で、秋にツバキに似た白い花を咲かせます。
タンニンを含んでおり、媒染なしでベージュ色に。
アルミ媒染を施すと薄茶色を染めることができますが、堅牢度はそう強くありません。

 

ピスタチオ(ピスターシュ)

ピスタチオピスタチオ

ムクロジ目ウルシ科カイノキ属の落葉樹。
西アジアから中央アジア原産で、地中海沿岸では紀元前2000年以前から栽培されていたといいます。
1世紀にローマに伝わり、やがてヨーロッパへと広がりました。
夏に高温となる乾燥地帯を好み、樹高は6メートルから10メートル。
葉は羽状複葉で互生し、2センチから3センチほどの果実は先の尖った卵形で、果内の核は成熟すると自然に割れる裂開果です。
この果実がいわゆるピスタチオナッツで、塩入のほか菓子やアイスクリームの材料として人気なのは言及する必要がないでしょう。
ピスタチオナッツの生産量はイランが世界一で、イラン人はそれを「グリーン・ゴールド」とよんでいます。
イランで産するピスタチオナッツにはアクバリ、アフマドアガエイ、ファンドギ、カッレゴーチ、バダミの五つの等級があります。
染料としては果実の外皮を使用するのが一般的で、媒染なしで薄茶色を染めますが、アルミ媒染により黄褐色を得ることができます。

 

ヘンナ(シコウカ、ヘナ)

ヘンナヘンナ

フトモモ目ミソハギ科シコウカ属の常緑樹。
北アフリカ、西南アジア原産の低木で、半乾燥帯、熱帯の水はけのよい丘の斜面に自生しています。
樹高は3メートルから6メートルほどで葉は対生し、先の尖った卵型。
良い香りのする小さな白い花をつけ、果実は多くの種子を持つ朔果です。
人類とのかかわりは古く、紀元前の昔からこの植物の葉から得た橙色の染料で手指などを染めていたとされます。
それにちなみ、わが国では指甲花(シコウカ)ともよばれます。
葉を乾燥させて粉砕したものを染料として使用しますが、それを「レッド・ヘンナ」とよびます。
媒染は不要で茶色を得ることができます。

 

ヤナギ(ウイロウ)

ヤナギヤナギ

ヤナギ(ヤナギ)はキントラノオ目ヤナギ科ヤナギ属の落葉樹。
主に北半球の温帯から寒帯にかけて分布し、300以上の種類があります。
葉は単葉で互生するものが多く、披針形もしくは円状心臓形。
早春に尾状の花穂をつけ、その後、綿毛のある果実を実らせます。
ヤナギはすべての種類が染料となり、枝葉と樹皮は生でも乾燥させても使用できます。
枝葉は動物繊維には媒染不要で薄茶色を染めますが、ミョウバン媒染により黄色に。
樹皮も媒染不要で肌色を染めますが、アルミ媒染により薄茶色となります。

黒色・灰色の天然染料

黒色の天然染料

かつて黒色を得るためには鉄の粉末が使われていました。
しかし鉄の成分は繊維を傷めることから現在はあまり使用されていません。

古いトルクメンやバルーチの絨毯で黒いパイルだけが他の部分よりも摩耗しているものをよく見かけますが、
これは鉄の成分によって糸が劣化したため。
浮彫のようにパイルをカットしたのではなく偶然そうなっただけのことです。

モッショクシや黒い羊の毛が使われることもありますが、
一般には青色や緑色を繰り返し染色して黒色に近づける、
あるいは青い染料と茶色の染料とを併用するなどの方法が採用されています。

 

モッショクシ(ゴールナッツ、オークアップル、オークゴール)

モッショクシモッショクシ

モッショクシ(没食子)はブナ科の樹木にできる虫こぶのこと。
虫こぶとは昆虫などが寄生することにより植物体組織が異常に肥大成長したもので、モッショクシは若枝にインクタマバチが産卵することによって作られます。
直径10ミリから25ミリほどの球形をしておりタンニンを多く含んでいるため、染料や筆記用のインクとして使われてきました。
茶色に変わって固くなるまで待つとタンニン量が最大になります。
媒染は不要ですが、モッショクシから抽出したタンニン溶液に鉄を加えるか染色後に鉄修整を加えると濃い灰色ないし黒に近い色を染めます。
この方法は中世の時代にはウールを黒く染める一般的な方法でした。
モッショクシは植物繊維の媒染剤として使うこともできます。

染色の手順

染色の手順

  1. 精錬:まず糸に付着した汚れやゴミを水で洗い流します。
  2. 湯通:糸を湯に浸して残った細かい汚れを取り除きます。
  3. 媒染:媒染剤を溶かした媒染液に糸を15分から20分ほど浸します(先媒染の場合)。
  4. 濯ぎ:糸を取り出し、軽く水洗いしてから絞ります(先媒染の場合)。
  5. 染色:糸を染液に浸け、60度から80度で15分から20分ほどかき混ぜながら染めてゆきます。
  6. 濯ぎ:糸を取り出し、色が出なくなるまで水でよく洗ってから絞ります。
  7. 乾燥:糸を天日に干して乾燥させます。

※色の染まり具合により5~6の工程を繰り返します。
※後媒染の場合は6の後に3~4の工程を行います。

 

参考文献:
『پژوهشی در فرش ایران』(2002年、انتشارات یساولی)
『世界の草木染め』(2013年、ガイアブックス)

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